元ホテルオークラの料理人が、なぜ「かき氷」? 大阪・天六の路地裏で週末だけ…“行列店”の正体

18時間前

「氷ノ雲」の「ブルーベリー・ヨーグルト」(1200円)

(写真10枚)

大阪・天神橋筋六丁目駅から徒歩3分…路地にひっそりと佇む、かき氷専門店「氷ノ雲」(大阪市北区)。ここはホテルフレンチ出身の店主が営む、土日限定&昼のみ営業の間借りかき氷店として今年7月にオープンした。

フランス料理から、新たな道への転身。何故、畑違いの「かき氷」を極めることになったのか? 店主に話を訊いた。

■ 手頃価格でこだわりの一杯を

オープン30分前からお客が列をなしていた同店は、天神橋筋六丁目にあるバー「BaRReL」を間借りするかたちで開業。店内の雰囲気によく合うシルバー調の器にのったかき氷からは高級感が漂うが、ここで食べられるメニューの価格は一杯1200〜1500円ほど。

近年、素材や氷にこだわった一杯2000円台のかき氷も珍しくないなか…店主・小嶋さんは「かき氷をあまり食べない人にも食べてもらいたい」と気軽に足を運べる価格にもこだわっている。

「氷ノ雲」店内。バーを間借りしているため壁一面にアルコールがずらりと並び、薄明かりでムーディーな雰囲気が漂う(Lmaga.jp撮影)
「氷ノ雲」店内。バーを間借りしているため壁一面にアルコールがずらりと並び、薄明かりでムーディーな雰囲気が漂う(Lmaga.jp撮影)

また、氷は三重県・美里氷室の「純氷」を使用。鈴鹿布引山系の恵みを受けた地下150mの天然水を48時間以上かけてゆっくりと凍らせているため溶けにくく、なめらかな口当たりが魅力だ。冷凍庫から取り出してすぐに削るのではなく、表面の霜が消え、透明感が出てきてから削ることでふっくらふわふわの食感を叶えてくれる。

三重県・美里氷室の「純氷」(Lmaga.jp撮影)
三重県・美里氷室の「純氷」(Lmaga.jp撮影)

一番のこだわりはフレンチ出身の小嶋さんによる自家製ソース&シロップとのことで、「フレンチと言ってもいろんな考え方がありますが、食材は旬のものを使い、それをどう調理していくのか。それが僕の思うフレンチらしさ」とし、食べた時にひとつひとつの素材が際立つような味わいと濃度、食感の変化も大切にしながら仕上げていく。

袋から取り出した氷を手で温めてから削り出すことで、よりふわふわに仕上がるのだとか(Lmaga.jp撮影)
袋から取り出した氷を手で温めてから削り出すことで、よりふわふわに仕上がるのだとか(Lmaga.jp撮影)

かき氷は常時4種類ほどで、かき氷の定番・抹茶や変わり種のトウモロコシもスタンバイするが、注目は旬の果物を使ったメニューだ。口溶けの優しいふわふわの氷に、フレンチの技が光る自家製ソース&シロップをたっぷりとかけた見た目にも美しい品々が人気だという。

ワインエキスパートの資格も持つ「氷ノ雲」店主の小嶋さん(Lmaga.jp撮影)
ワインエキスパートの資格も持つ「氷ノ雲」店主の小嶋さん(Lmaga.jp撮影)

山梨県や福島県産の桃を使った「桃・ジンジャージュレ」(1500円)は、柔らかくなりすぎないように仕上げた桃のコンポートをアクセントに、桃の果汁ソースをたっぷりと掛け、さらに氷の中にはジンジャーを効かせた桃のジュレが入った、桃好きにはたまらない一杯。

「氷ノ雲」の「桃・ジンジャージュレ」(1500円)
「氷ノ雲」の「桃・ジンジャージュレ」(1500円)

また国産ブルーベリーを使った「ブルーベリー・ヨーグルト」(1200円)は濃度の高い、だけど酸味は控えめなヨーグルトソースと色鮮やかなブルーベリーシロップがマッチ。食べ進めることで現れるパンナコッタの滑らかさがプラスされ、最後のひと口まで飽きることなく味わえる。

「氷ノ雲」の「ブルーベリー・ヨーグルト」(1200円)
「氷ノ雲」の「ブルーベリー・ヨーグルト」(1200円)

フレンチのデセールのような雰囲気を纏った一杯は程よい甘さかつ、さらりと完食できるサイズ感ということもあり、ひとりで2つ注文する人もいるのだとか。8月後半からは桃やブルーベリーに変わり、ほうじ茶金時や黒蜜きなこ、フランボワーズなど新しいメニューが登場する予定だ。

■ 成功の鍵は…?フレンチ×マーケティング力

小嶋さんは「ホテルオークラ神戸」のフランス料理店でメインとなる魚料理を担当していたが、2023年に店が閉店することをきっかけに、異業種への転職を決意した、現在、平日はアパレル会社でECサイトの運営やSNSマーケティングをおこない、週末はかき氷の間借り営業をおこなうという二足のわらじスタイルだ。

(右)「氷ノ雲」店主の小嶋さん(Lmaga.jp撮影)
(右)「氷ノ雲」店主の小嶋さん(Lmaga.jp撮影)

ホテル時代から将来は自分の店を持ちたいと思っていたものの、「飲食一本でやっていくことの厳しさも知っていた」と小嶋さん。現在の仕事でマーケティングを学んでいくうちに、いきなり店を構えるのはリスクが大きいと考えるようになり、間借りを模索することになったとか。

「氷ノ雲」のかき氷は使用する食材にもこだわる(Lmaga.jp撮影)
「氷ノ雲」のかき氷は使用する食材にもこだわる(Lmaga.jp撮影)

気になったのは何故フレンチではなく、“かき氷”だったのかという点。小嶋さんが、かき氷好きであることは大前提に「映える見た目、お店の雰囲気、ターゲット層、あとはアップトレンド(上昇傾向にある領域)などいろんな要素を考えました。かき氷は夏場になると必ず需要が増えることが、期間限定の間借り営業とベストマッチしているなと」と、マーケターらしい答えも。

さらに「今はインスタよりもスレッズの方が宣伝効果がある」と言い、実際にオープン前に並んだお客さんに話を聞くと「スレッズを見て気になったので」と。取材日もオープン30分前ほどから店内の様子をうかがう人の姿があった。地元の人はもちろん、カップルやひとり客など、幅広い世代のお客の間ですでに話題になっているとか。

「氷ノ雲」店前にはオープン前から列が…(Lmaga.jp撮影)
「氷ノ雲」店前にはオープン前から列が…(Lmaga.jp撮影)

「氷ノ雲」は7月11日グランドオープン。営業時間は、朝11時30分~15時45分(15時15分L.O.※売り切れ次第終了)。早めの来店がおすすめ。現在間借り営業は9月末までの予定だが、期間延長も視野に入れているとのこと。谷町線「天神橋筋六丁目駅」から徒歩3分。メニューなどほか詳細は公式サイトにて。

取材・文/佐々木早貴 写真/Lmaga.jp編集室

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