傘を触った子どもの手が腫れてしまったワケは? 国民生活センターも注意喚起

グラスファイバーが明記されている傘もあれば、ない傘も
「小学6年生の息子が、落ちていた傘の柄を持った途端、痛みに襲われ、手のひらが急激に腫れてしまいました」
同じように傘を触った友達たちの手も腫れて、何が付着していたのか…原因がわからず。今回SNSで母親が、その事態を投稿したところ、取り扱いに注意が必要な素材を使用した傘があることが判明しました。
梅雨シーズンに突入し、傘を使う機会が増えているなか、「息子のようにケガをする方が少しでも減って欲しい」と、母親のikeikeikekoさん(以下、ikekoさん)が取材に協力してくれました。
激痛に不安が増して、SNSに投稿すると…
「息子が傘を触ったのは下校中です。“落ちていた傘の柄を持った途端に手が痛くなった、手のひらが急に腫れた”と帰って来ました」とikekoさん。
「落ちてるものを拾わない!っていつも言ってるでしょ」と注意したそうですが、痛がっているので、心配になり、当時の状況をヒアリング。
「息子が落ちている傘を拾い上げたら、手に激痛が走って、騒いだのが事の始まりのようで……。それを見ていたお友達が、それは大げさだろ~と、傘を掴んで振り回したそうです。他の数人のお友達も触ってしまい、みんなもれなく全滅。息子より酷く腫れたとのことでした」
すぐに手洗いをしたところ、腫れは引きましたが、まだ痛みがあったので念のため、皮膚科へ。炎症止めの薬が処方されただけで不安になり、「落ちていた傘の柄に何か付着していたのでしょうか。もしくは傘に使われている何かが、劣化していて、手に刺さったのでしょうか? こんな時、どう対処したら良いのでしょう?」とSNSで発信。
ikekoさんの問いかけに対し、多くの人が反応しました。
「グラスファイバーだと思います!子供用傘に使われています。我が子の劣化した傘を処分するときに布の部分を剥がすときめちゃくちゃ激痛でした」
「道路に落ちてた壊れた傘を善意で端に寄せたら激痛が走り、細い針のような(今思えばガラス)が刺さっていた」
その結果、痛みの正体は「ガラス繊維強化プラスチック」で使用されている、ガラス繊維の「グラスファイバー」であることが判明します。
「夕方の室内で手のひらを見ても肉眼だとほとんど見えず。子供は痛がるし、なぜそうなるのかもわからないし、血の気が引きました」。現在は、腫れも痛みも治り、すっかり元気になったそうです。

「傘なんて、振り回したら危ないよ!くらいしか言ったことがなかったのですが…。最近の傘は耐久性に優れていると思っていたら、身近なところに危険は潜んでいる、と改めて感じました。おケガをする方が少しでも減りますように。たくさんの人に知ってもらいたいです」
身近なものに使われているグラスファイバーの危険性
独立行政法人国民生活センター(以下、国民生活センター)では、「グラスファイバー」を使った商品による怪我の相談事例やテスト結果を2025年9月(同年11月に更新)に発表。そのなかで被害件数が多かったのが傘です。
グラスファイバーは、ガラスを溶かして極細の糸状に引き伸ばした人工繊維。これに樹脂などを加えると「ガラス繊維強化プラスチック」に。軽くて弾力性もあり、風に強くて折れにくいなどの特徴があるため、傘の骨に使用されることがあります。
国民生活センターの実験で、曲げたり傷つけたりすることで表面に傷が入り、ガラス繊維の先端が表面に出てくることが確認されています。子どもは傘で遊んだりすることもあるので、表面に出た状況のグラスファイバーでケガをすることも大いにありえます。

破損すると、非常に鋭利になり、皮膚に刺さると、チクチクとした痛みやかゆみが発生することも。ただし、「ガラス繊維強化プラスチック」から飛び出してきたグラスファイバーの破片が刺さっても、時間が経てば体外に排出されます。国民生活センターからは、痛みが続く、腫れが引かないなど気になる症状がある場合は医療機関に相談することを促しています。
実はいろんなモノに使用されている!?
このグラスファイバーが使用された「ガラス繊維強化プラスチック」は、傘以外にも広く利用されており、園芸用のポールや、テントなどのレジャー用品、玩具・遊具、スマホの画面保護フィルムなどが該当。
ikekoさんの投稿のコメント欄にも、「スマホの画面保護シールを破損した際にパラパラと床に落ちたことに気付かず踏んでしまい、足の裏がチクチク。皮膚の中に割れたグラスファイバーが潜り込んでました」「釣竿の先が折れてしまい、無数のガラスの繊維がびっしり皮膚に入り込んでキラキラ」「農業用の柵に触ったら激痛」「簡易な折りたたみのサッカーゴールを組み立てるとき、手がものすごく痛くて見てみたら無数に何か刺さっていた」などの声が集まりました。

国民生活センターでは、グラスファイバーを扱う業界・事業者に向けて消費者への周知や適切な表示を行うことを要望。この発表を受けて、日本洋傘振興協議会も公式サイトで使用上の注意を呼びかけ。折れ曲がりなど破損した状態の傘を素手で触らないように伝えています。
ただ、素材の利点から多くの商品に使用されて、家庭用品品質表示法の表示がされていない商品も見つかっているとのことです。商品を購入する際に、しっかりと素材のチェックを。
取材・文・写真(一部)/宮前晶子
■国民生活センター「ガラス繊維強化プラスチックによるけがに注意!―傘の骨などに使用されていますー」
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250917_2.html
■国民生活センター「ガラス繊維強化プラスチックによるけがに注意! ‐傘の骨などに使用されています‐」
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20250917_2.pdf
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