淡路島に「刺身盛り合わせ」のテイクアウト専門店、観光客のガッカリ感を解消

淡路島産お刺身盛り合わせ(画像提供:岩屋鮮魚/背景:明石海峡大橋)
淡路島で水揚げされた新鮮な魚を、待ち時間なしで味わえるテイクアウト専門の鮮魚店「岩屋鮮魚」が4月3日、複合施設「タコステ」(兵庫・淡路市)内にオープンした。
イタリアワインの輸入販売会社CEOが、観光客の「せっかく淡路島に来たのに地元の魚が食べられない」現状を見て一念発起。2年に及ぶ準備期間を経て「淡路島の魚を淡路島で食べられる」を実現した。
■ ワインのプロが挑む、新しい鮮魚店のカタチ
「岩屋鮮魚」を運営するのは、イタリアワインの輸入販売をおこなう「株式会社ENJI」(本社:神戸市東灘区)CEOの安居亮治さん。趣味の釣りを通じて淡路島・岩屋の町に魅了され、住み始めて3年になるという。
ワインを通じて友人や客を島に招くうち、ある課題に直面した。「淡路島で獲れる良質な魚は、都市部の市場や高級レストランへ優先的に流通してしまって、地元で手に入りづらいのです」。

観光客の目当ては、まず地元の「食」だ。ところが淡路島の魚を探し回っているうちに時間がどんどん過ぎてしまい、満足な観光が叶わない。仕方がないから、土産物店で適当に購入して帰っていく。
「淡路島に来たのに、淡路島産の魚が食べられない」という声を多く聞いていた安居さんは、かねてからそんな現状を憂慮していた。「住んだからこそわかる、淡路島の魅力を多くの人に伝えたい」。

そこで、本業のワイン輸入業で培った物流やトレーサビリティの知見を活かし、生産者である漁師の想いとともに消費者に届ける鮮魚店を計画。空き店舗探しに2年を費やす苦労の末、岩屋漁協の協力を得て、漁港直結の店舗を実現させた。

■ 刺身を伝統の「淡路瓦」に盛り付け、イタリアンな食べ方を提案
看板メニューの「淡路島産お刺身盛り合わせ」(3240円)は、その日に獲れた天然真鯛やサワラ、真ダコなどの鮮魚が美しく盛られている。特徴的なのは、その味わい方だ。

特別のブレンドされた醤油、世界的な評価を受けるイタリア産の特注エクストラバージンオリーブオイル、淡路島の天然塩が添えられている。新鮮な刺身に塩と上質なオリーブオイルという組み合わせは、さながら和風カルパッチョといった味わい。

さらに目を引くのが、「お刺身5種盛り」を盛り付けている黒くて重厚なお皿。実はこれ、淡路島の伝統産業である「淡路瓦」の技法が用いられており、瓦職人にお願いして特別に焼いてもらっている特注品だ。
手作業ゆえ微妙に形が異なり、それがまた独特の風合いを醸し出す。しかも、この瓦皿は持ち帰りOK。自宅でチーズや生ハムをのせたり、観葉植物を飾るディスプレイとして使ったりと、新鮮な魚を味わった後も淡路島の伝統に触れることができる逸品なのだ。
■ 待ち時間をゼロにして、観光を楽しむ時間を有効に
新鮮な魚を提供することのほかに、「岩屋鮮魚」が大切にしていることは「観光客の時間を奪わないこと」だ。人気店では行列ができて、否応なく時間を浪費してしまう。魚を探し回る時間は限られた時間を削ってしまい、観光がままならない。安居さんはそれを「もったいない時間」だと語る。

「そのため、事前予約と事前決済のシステムを導入して、店頭での待ち時間をゼロにしました。前日までにスマートフォンなどで注文をいただけたら、ご指定の時間にお受け取りいただけます」。
行列に並ぶストレスをなくし、その分の時間は美しい夕日を眺めたり、ノスタルジックな漁師町の商店街を散策したりして、「岩屋を町ごと味わう時間」に使ってほしいという。
■ 土日限定で1000円の「漁師町の朝ご飯」も
また、土日限定で、朝7時から10時まで、淡路島産鯛のアラ出汁お味噌汁、海苔漁師の板海苔、地元養鶏場の卵といった厳選素材を揃えた「漁師町の朝ご飯」(1000円)を提供。

地元の海苔業者に特注したという板海苔は、カウンター横に用意された七輪の炭火で、客みずから裏と表の両面を炙る。炙りたての海苔は、まるで味付け海苔かと思うほど香りが立ち、淡路島産のお米「キヌヒカリ」によく合う。

徹底して淡路島産にこだわった「岩屋鮮魚」を起点にして、「並ぶ」「探す」をしない淡路島観光を楽しんでみては。
取材・文・写真/平藤清刀
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