ダリという異才の心を…解き放つ、雪組男役・瀬央ゆりあ主演作開幕

2026.4.15 18:12

アメリカに渡ったダリ(瀬央)は、愛人のアマンダ(左/星沢ありさ)たちとパーティーに興じる

(写真5枚)

星組、専科でキャリアを重ね、宝塚歌劇団の雪組男役スターとして抜群の存在感を発揮している瀬央ゆりあの主演作、『超現実浪漫(シュルレアリスム・ロマン)「DayDream Dali」』が、「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で4月15日に開幕した。

20世紀前半に誕生した「超現実主義=シュルレアリスム」を代表する、天才芸術家のサルバドール・ダリ(瀬央)。人間の内なる無意識を描いた独創的な作品、クイッと上がった特徴的なヒゲ、奇想天外な言動で世間を騒がせた彼の晩年から始まる本作。ダリの人生と非現実の世界が多層的に展開し、観客も彼の心の旅路とともに、不思議な世界へと導かれる作品となっている。

作・演出の谷貴矢は、「超現実」を宝塚の男役という存在にも重ね、唯一無二な瀬央の個性を反映させて、新たなダリ像を造形した。

舞台ではダリの絵画で描かれるモチーフがセットに効果的に使われ、時計はダリの失った記憶、大きなタマゴは再生の象徴としてそこに存在するかのよう。

華世京(かせ・きょう)がエキセントリックに演じるジョーカー・ナルシスが、寝室のダリのもとへやって来て、「ダリランド」の救世主になってほしいと彼に懇願。瀬央はその「ダリランド」に存在する「キング・ダリ」ともなって舞台を導く。

華やかなスタイルが瀬央の美貌にマッチし、突き抜けた帝王感が! 近年さらに増している瀬央の歌唱力が、エネルギッシュな音楽を大いに盛り上げた。

一方で、幼い頃に兄の生まれ変わりというレッテルをはられた苦しみ、愛する母の死などから生じた枯渇する思いをダリは長年秘めており、生涯のミューズとなるガラとも、はたから見るといびつな関係。星沢ありさが演じる「ヤング・ガラ」の利発さは、ダリの妻=ガラを演じる輝月(きづき)ゆうまに引き継がれる。

クイーン・ガラを演じる輝月ゆうま(手前中央)は、高音のロングトーンも聴かせて鮮烈
クイーン・ガラを演じる輝月ゆうま(手前中央)は、高音のロングトーンも聴かせて鮮烈

普段は男役である専科の輝月は、「ダリランド」の女王、クイーン・ガラとしても物語に君臨。瀬央の同期である輝月の美しさと豊かな歌声は、瀬央と対峙するのに十分な輝きで圧倒される。

なぜダリにはガラが必要なのか。ガラの色が濃いほど、ダリの繊細さと愛の深さが浮き彫りになっていき、瀬央の演技が一層研ぎ澄まされていくのを感じた。

瀬央自身からにじみ出る明るさとユーモアが、ダリの特異な生き様に真実味を与えている
瀬央自身からにじみ出る明るさとユーモアが、ダリの特異な生き様に真実味を与えている

「超現実」である「ダリランド」の住人、諏訪さきや愛陽みちたちの奇抜なメイクや衣装は、次々と展開する派手なナンバーによく映える。

幼少期のダリこと「もっとヤング・ダリ」を演じる音綺みあ、青年期の「ヤング・ダリ」を演じる紀城ゆりやの連携した芝居も、ダリの深層心理をしっかりと表す。

やがて、ある絵が舞台上に大きく登場、ラストシーンの全員の風貌には思わずニヤリ。スカッと弾ける明るいナンバーで、「愛」にあふれた瀬央カラーが舞台を七色に染め上げた。

『DayDream Dali』は「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」で4月23日まで公演後、4月30日~5月9日に「東京建物 Brillia HALL」(豊島区立芸術文化劇場)で上演。4月19日16時公演はライブ配信がおこなわれる。

取材・文/小野寺亜紀

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