歌舞伎でルパン三世…どういうこと?2年前の初演好評、京都で再び

5時間前

「絶景かな、絶景かな」…『楼門五三桐』の舞台となった南禅寺の山門にて(提供:南座)

(写真5枚)

世代を超えて愛される、ピカレスクの傑作漫画&アニメ『ルパン三世』を原作にした新作歌舞伎『流白浪燦星(るぱんさんせい)』。大好評となった2023年の初演から時を経て、待望の初関西公演が「南座」(京都市東山区)で実現する。初演に引きつづき流白浪燦星(ルパン三世)を演じる片岡愛之助と、石川五右衛門(石川五ェ門)を演じる尾上右近が、京都市内で会見を行った。

■ 2度目の舞台に愛之助「本当にプレッシャーで」

流白浪燦星(ルパン三世)を演じる片岡愛之助
流白浪燦星(ルパン三世)を演じる片岡愛之助(7月18日・京都市内)

変装が得意な女好きの大泥棒・ルパン三世とその一味を、盗賊を主人公にした歌舞伎のジャンル「白浪物」の世界に取り込んだ作品。安土桃山時代を舞台に「卑弥呼の金印」というお宝を狙う流白浪燦星と石川五右衛門に、時の権力者・真柴久吉(坂東彌十郎)までもが加わって、荒唐無稽なバトルが繰り広げられるという、まさに『ルパン三世』な内容だ。

愛之助は制作過程について「皆さんのイメージを壊すことなく、しかも歌舞伎作品でなければいけないというのが、本当にプレッシャーで。吉と出るか凶と出るかまったく読めなかったのですが、初日の最初の立ち回りでお客様がものすごく盛り上がって、その瞬間に『行ける!』という光が見えました」と苦労を語った。

会見中の2人
会見中の2人(7月18日・京都市内)

続けて「アニメ版を踏襲した衣裳にしたり、音楽もルパンのテーマ曲から(サブタイトルを流すときの)タイプライターの音まで、ちゃんと歌舞伎の和楽器で演奏して使ってるんです。だから歌舞伎を観たことがない人でも、なんの説明もしなくても『あ、ルパンだな』とわかってもらえます」と自信を見せた。

■ 右近は役柄チェンジ「踏み台にしたいです」

五右衛門役に挑戦する尾上右近
五右衛門役に挑戦する尾上右近(7月18日・京都市内)

初演のときは、尾上松也が演じる五右衛門と良い仲になる姫君・傾城糸星を演じ、今回は五右衛門役にチェンジした右近は、「僕の世代でも知らない人はいないキャラクターを演じるのは、伝統の責任の重さがある古典歌舞伎のお役とは、また違う緊張感がある。ただ前回の段階で、僕の方が五右衛門顔だと言われていたので(笑)、松也さんが作ったものは踏襲しつつ、踏み台にしたいです」という挑発的なコメントで、周囲を笑わせた。

また、「『次回やるときはこうしたいな』と思ったことを、できるだけ直していきます」と愛之助。しかも現在上演中の、2Dアニメとしては30年ぶりの新作映画『LUPIN THE ⅢRD THE MOVIE 不死身の血族』に、愛之助が声優として出演している縁で、驚きのプランが上がっているという。

左から尾上右近、片岡愛之助(7月18日・京都市内)
左から尾上右近、片岡愛之助(7月18日・京都市内)

「僕が映画でやっている不死身の男・ムオムを、この舞台に出したいなあと。小池(健)監督と(ルパン声優の)栗田貫一さんに話したら『出してくれるんですか? 嬉しいです!』と喜んでたので、どうせなら2役やりたいなと思っています」と、期待をより高める言葉を。

さらに右近も「京都を舞台にした作品でもあるので、ご当地ものという風味も味わっていただけたら。ルパンを楽しむという気持ちと、歌舞伎を楽しむという気持ちを、同時に浴びに来てほしいです」と、関西の人々に観劇を呼びかけた。

ほかには市川笑三郎(次元大介)、市川笑也(峰不二子)、市川中車(銭形刑部/銭形警部)などが出演。公演期間は9月2日~26日(一部貸切公演あり)で、チケットは1等席1万5500円、2等席8500円、3等席5500円、特別席1万6500円。8月9日から発売開始。

取材・文・写真/吉永美和子(一部提供)

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