万博・日本館の「実は…」建築に焦点あてた貴重なツアー密着

「日建設計」が基本・実施設計をおこなった「日本館」外観(2025年6月20日/大阪・関西万博)
『大阪・関西万博』に日本政府が出展する「日本館」。館内展示も話題だが、このパビリオンの木製のパネルが大量に立つ外観が、なんとなく日本らしいデザインだと、気になっていた人もいるかもしれない。実際にはどんな思考で設計・デザインされたのだろうか。
先日開催された、参加した人が「日本館は建物も込みで展示なんだな」と関心する「設計者とまわる日本館建築ツアー」に密着。建築のプロに疑問をぶつけてみた。

このツアーのガイドは、「日本館」の基本・実施設計をおこなった「日建設計」の設計者・高橋秀通さんと、同じく構造設計者・江坂佳賢さん。人気のパビリオンを設計した本人に話が聞ける貴重な体験ということもあり、全8日間、1日3回実施のツアーはあっという間に満員御礼。大人気企画となった。今回は、ツアーに密着した筆者が注目したポイントを案内したい。
◆ 展示だけではもったいない、日本館のコンセプトを体現した建築デザインに注目!

一番の注目は、印象的な木製パネル。しかも大きな長方形の板が、ドミノをずらしたようにならべられていて、建物自体は円形になっているからおもしろい。板と板の間は、ほとんどがガラスになっているので、余計にパネルが独立して立っているだけに見える。天井面もガラスになっているので、ぜひご注目を。

この木は、CLTと言われる板の繊維を直行するように重ねて接着することで、厚みと強度をあげた建築材料で、万博の会期終了後に解体されて再利用することが前提になっている。そのため、できるだけ最大サイズで、表面を傷つけないように使用されている。まさに日本館の展示コンセプト「循環」が、建物でも表現されているのだ。

一般の建築の設計とは異なり、「万博の設計では閉幕後の解体を前提とした仮設建築として、少ない材料で、作りやすく壊しやすい、再利用しやすい建物として設計することがポイントだった」と設計者の高橋さん。
◆ 万博1の大きさを誇るパビリオンだからこそ、建てる際に直面した課題とは…?

そしてもうひとつ紹介したいのが、建物が大きいからこそ、そして埋立地ならでは課題に対しての工夫だ。「日本館」は、もともと何年も前に埋め立てられていた土地と、万博の施設整備の直前に埋め立てられた土地、その2つをまたぐ立地にある。

埋め立てた時期が異なるということは、それぞれの土地の地盤沈下のスピードが異なる。そのため、傾いても問題がない頑丈な鉄骨の基礎を座布団のように敷いて、沈下したときにはジャッキアップするためのスペースも設けられている。
ツアーでは、ARで建物の下にある基礎部分を見ることができた。このように見えないところにたくさんの工夫があって、総合的に作られていることを、詳しく説明を聞くことで改めて実感できた。

◆パビリオン内で、実は設計者が見てほしい場所は…?

また高橋さんは、「話題にもなっていますが、万博会場内各所には、若手建築家がデザインしたトイレがたくさんある。僕らも負けていられないなと思って、パビリオン内のトイレも頑張ってデザインしています。行きたくなくても、ちらっと覗いてもらえれば。館内にトイレは3カ所あって、2カ所は一般的な男女別のトイレで、そこでは建築的なおもしろさを見てもらえたらと思うんですが、もう1カ所のトイレはオールジェンダートイレという全部個室タイプのトイレも用意しています」とのこと。
では、噂のトイレを実際に見てみよう。トイレはシックなデザインで、個室の奥には不思議な空間があり、建物の構造ものぞけるようになっているのが面白い。

本ツアーがスタートする前に、「どうやってこんなデザインにしたのか知りたい」と話していた参加者のひとり、小学6年生の男の子。ツアーが終わると、建設費用や設計期間と工事期間などについて、早速ガイドをしてくれたプロに質問。
「ARで構造がわかりやすかった。設計期間が2年と聞いて、とても驚いた」と満足そうに教えてくれた。プロと接する貴重な機会を大人はもちろん、子どもたちも楽しめたようだ。

◆ ガイドツアー終了後に、日本館の設計を担当した高橋さんにお話を聞きました

──「日本館」の設計上、はずせなかったことはなんでしょうか?
「ホワイトキューブ」(美術館のように外部と分断した展示スペースとしての箱)ではなく、建築とそれを取り巻く環境、展示を一体として体感できる建物とすること。木(CLT)を象徴的に使うこと。仮設ならではの設計をおこなうこと。様式としての和ではなく、精神性としての和を表現することです。

──実際にツアーを案内されて、手応えはどうでしたか? またお子さんの参加もありましたが、伝えたいのはどんなことですか?
建築関係者ではない方に、「建築の面白さを感じた」と反応をもらったのが嬉しかったですね。お子さんたちには、答えは常に一つの正解があるわけではなく、与えられた条件の中で、さまざまな解決方法があり、それが形として現れる。設計が、可能性や工夫の余地がたくさんあるクリエイティブな仕事であることが伝わるといいですね。

──設計者として注目している、万博会場内のパビリオンはありますか?
「サウジアラビア・パビリオン」です。中東の路地空間の概念を計画に持ち込み、スタイリッシュな建築として表現しています。外部空間をデザインしていることは日本館とも共通していますが、「日本館」が木を用い内外を柔らかくつなげることを意図しているのに対し、サウジアラビア館は石の塊として表現しているところがそれぞれの建築文化に立脚し、対照的な表現となっている点に注目しました。

◇
なお、こちらの「日本館建築ツアー」は、日本館の観覧がセットになっていて、建築ツアーの説明を聞かなかったら見ることがなかったであろうポイントを、パビリオン内を巡りながら、各自チェックできる充実の時間になったようだ。
「ARを活用した構造解説楽しかった」「普段聞くことがない裏側の説明をしてもらえるの本当に貴重」「どういった思想でパビリオンが設計されたか知ること出来て、エンジニア的に興味深かった」など、参加者たちもSNSにコメントしている。これから日本館に行く人は、ぜひ建築的な観点にもご注目を。
取材・文・写真/太田浩子
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