【どうする家康】思わずビンタ、見る目ない茶々の手腕に疑問視

『どうする家康』第43回より、思わず輝元(吹越満)に手を上げる茶々(北川景子)(C)NHK
江戸幕府初代将軍・徳川家康の人生を、松本潤主演で描く大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。11月12日放送の第43回『関ヶ原の戦い』では、関ヶ原での本戦と並行して、大坂側の動きも紹介。とくに茶々と阿茶局の女のバトルには、歓声のような声がSNSで上がっていた(以下、ネタバレあり)
■ どうする家康、関ヶ原の戦いに決着
石田三成(中村七之助)は家康との戦に豊臣秀頼の出陣を促し、その気になっていた茶々(北川景子)。しかし、総大将の毛利輝元(吹越満)に様子を見るよう止められる。実は、小早川秀秋(嘉島陸)や吉川広家(井上賢嗣)などの一族が、すでに家康に調略されたという情報が入っていたこともあり、輝元は身動きができなくなっていた。
その間に家康の側室・阿茶局(松本若菜)が茶々と対面し、「秀頼はこの戦に関わらない方が良い」と進言して出陣を阻止。そして関ヶ原の戦いは、大方の予想に反して、わずか半日で家康の勝利で決着が付いた。茶々は輝元を「そなたを頼った私の過ちよ」と打ち据え、輝元をはじめとする三成方に付いた大名たちは、のきなみ死罪や減封などの処罰に遭った。
■ 自己保身でとどまっていた『どう家』版の輝元
関ヶ原の戦いにおける豊臣家の立ち位置は「配下たちの内輪もめからは距離を置く」的なものが多かった。しかし最近関ヶ原の近隣で、秀頼を迎え入れるためと推察される大きな砦の跡が発見され、むしろ三成の肩を持とうとしていたのではないか? という説が急浮上している。この43回では、その説に乗っかりながら「ではなぜ、秀頼は出陣できなかったのか?」という謎を、関ヶ原の戦い本編と並行するような形で描かれた。

その大きな要因とされたのは、西軍の大将となった毛利輝元のどっちつかずの態度だ。自分たちが打って出れば、数的にも道義的にも有利に働くことはわかっていながらも、なぜ西へ向わなかったのか? その理由は諸説あるが、身内が次々と家康側について計算が狂い、自己保身もあってとどまっていた、というのが『どう家』版の輝元だ。
SNSでは、戦に関わる気まんまんの茶々に「秀頼出馬させたい淀殿(茶々)本当に珍しいな」「近年稀に見るやる気のある茶々様」などの驚きの声が上がると同時に、輝元の采配のまずさに「もし秀頼を出せたら結果はひっくり返ったと思う」「毛利が絡まなきゃここまで混乱せんかったんだ」「関ヶ原における毛利輝元さんはどんだけカスに描いてもいいという風潮」など、お手上げ気味のコメントが並んだ。
■ 思わず手を上げる茶々、その手腕に疑問視も
この、主に輝元が起こした混乱に乗じて、大坂城で暗躍をしてみせたのが阿茶局だ。西軍が秀頼の元で団結しているかのように見せかけて、実は連携がボロボロということを看破。すかさず茶々に、距離を置いた方がこの崩落に巻き込まれずに済むことをほのめかし、家康を遠くからアシストすることに成功した。ただし、茶々が家康を「信頼に値しない」とかたくなに思っていることまでは、残念ながら見極められなかったようだ。

SNSでも「殿は関ヶ原で、阿茶は大坂で、調略と心理戦に勝った。日本一つよつよ夫婦」「旗印を出させない。阻止できずとも遅らせたい。茶々を迷わせたい。その楔を打てればよし。命懸けの阿茶さまの覚悟」と阿茶の手腕を称えながらも「『我が殿は信用できるお方』茶々が一番耳にしたくない台詞をピンポイントで発する阿茶」「茶々からしたら家康は信用できない男の極みだもんなあ。母を助けなかった男」と、唯一の失策を惜しむ声も上がった。
そして関ヶ原の惨敗を聞き、思わず輝元に手を上げる茶々には、なぜか「輝元を平手打ちする北川景子茶々さま最高じゃん」「裏ビンタして『去れぇぇ~!!!』はゾクゾクしました」「茶々さまの扇子ビンタなんてご褒美ですが何か」という興奮気味のコメントが飛び交ったが、同時に「普通に輝元信じてたんだな。戦略的な眼がないのはお市お母さんと同じ」「茶々の織田の血が好戦的すぎる」と、政治的な手腕を疑問視する声が相次いだ。

この戦のあと、茶々は自らが豊臣家をワンマン的に治める立場になると思われるが、もしかしたらこの苦い経験で「家臣に戦や政を任せても、ろくなことにならない」と刷り込まれてしまったというのが、その大きな動機なのかもしれない。豊臣家を背負う立場となり、このドラマのラスボスの道がグンと広がった茶々。次回は立派になった秀頼(作間龍斗)もそこに並ぶことになるので、良くも悪くもボス度はさらに飛躍するだろう。
『どうする家康』はNHK総合で日曜・夜8時から、BSプレミアムは夕方6時から、BS4Kは昼12時15分から放送。11月19日放送の第44回『徳川幕府誕生』では、ついに家康が征夷大将軍となって江戸に幕府を開くと同時に、成長した秀頼を擁する豊臣家が、逆襲の機会をうかがう様子も描かれていく。
文/吉永美和子
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