【どうする家康】ついに悪女の道を選んだ瀬名、危険な賭けに出た無慈悲な理由

於愛に「殿のことをよろしく頼みます」と告げる瀬名(有村架純)(C)NHK
古沢良太脚本・松本潤主演で、江戸幕府初代将軍・徳川家康の人生を描く大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。6月18日の第23回『瀬名、覚醒』では、父と息子の確執、家康の伯父・水野信元の退場、そして瀬名が「謀反」の第一歩を踏み出すなど、幾多の悲劇がミルフィーユのごとく重なる回となった(以下、ネタバレあり)。
■ どうする家康、見せしめに叔父成敗の指示
瀬名(有村架純)が武田の忍び・千代(古川琴音)と密会していることが、織田信長(岡田准一)に伝わった。すると信長は、武田と通じている疑いのかかった家康の伯父・水野信元(寺島進)の成敗を家康に命じる。信元は家康に、「お前への見せしめなんじゃ。裏でこそこそやっておると、こういう目に遭うぞという忠告じゃ」と告げたのち、殺害された。

一方、戦続きで精神を病んでいた家康の長男・信康(細田佳央太)は、僧侶を斬殺する事件を起こしてしまう。瀬名は、自分が武田と交渉をして、国と信康を救うという、密かに抱いていた計画を実行に移すことに。千代を通じて武田側の重臣との面会を申し込んだところ、さっそく穴山信君(田辺誠一)が、瀬名と信康が待つ築山を訪ねて・・・。
■ 「父の日」に悲劇の始まり、信元退場に追悼
妻と息子を一度に失った、家康の私生活での最大の悲劇「築山事件」と「信康事件」の火蓋が、ついに切って落とされた23回。よりによってこの日が「父の日」ということもあり、SNSでは「父の日に『全て父上が悪い』と息子に言わせる大河ドラマ」「父の日に合わせて? この回放送するNHK、偶然にしては恐ろしいにも程がある」というため息があふれた。

まずは冒頭、信康の妻・五徳(久保史緒里)が「父」の信長に密書を送り、家康は伯「父」の水野信元を討つという流れ。信元が武田方に兵糧を送ったのは事実だったようだが、信長が「裏切ったらダメよ」と念を押すためだけに信元を討たせたのだとしたら、伯父上はとんだとばっちりというか、そんなに「俺の白兎」を死なせたくないのか信長! と、実にやるせない。
SNSでは、クセ強ではあったけど気の毒な退場となった信元に対して「なんだかんだ水野の伯父上は妹の於大が可愛くて、すぐ滅亡しそうな甥っ子の徳川家を織田方で面倒みてくれてたのに、殿ぉぉ」「伯父として甥に道を示しながらかっこよく逝くと思ったら、最後まで太々しい国衆だった。これはこれで一貫してていい」「往生際の悪さまで含めてかなり完璧な死に様」など、追悼の言葉が並んだ。
■ 鬼気迫る信康、悔やむ姿のギャップに心配も
対して、全面的に同情を集めたのが「父」家康との対立を深め、みずからも「父」となったのにその幸福を感じてなさそうな信康だ。今回はついに、彼の最大の愚行として知られている僧侶殺害の逸話が登場したが、『どう家』では解離性同一症に近い、一種の病気だったのでは・・・という解釈に。返り血を浴びた鬼気迫る表情と、自らの行動を悔いて涙を流す姿のギャップがすさまじかった。

SNSはこの信康の姿に、「『強くならねば』この一心で自分自身を封じ込めて戦い続ける信康くんつらい」「虫も殺せなかった若武者が力を求めた結果、力を抑えきれなくなり気のむくままに殺生し、そのあと自責の念に囚われるの辛すぎる。素行が悪いというエピソードをこのようにして持ってくるとは」など、心配の声が上がっていた。
■ 瀬名が危険な賭けに出た理由、息子の救済
そして瀬名が、武田と内通したと思われかねない危険な賭けに出た理由が、壊れゆく息子を救済したかったから・・・というのは、なんと完ぺきで無慈悲な流れだろう。SNSでも、「地獄の門の開く音が聞こえる」「ここで家康が瀬名ときちんと向き合っていれば、違う未来があったのかもしれない」「瀬名ちゃん、悪女で殿と不仲だった方がよっぽど楽だったんじゃないかと思えてきた」など、嘆きのコメントであふれた。

思えば第1回で瀬名が登場したときは、この家康の弱さを全肯定してくれるほがらかな姫が、どうやったらあの「築山殿」になるんだよ??? という疑問があふれたのだが、ここにきてついに世に言われる「悪女」の輪郭が、少しずつ見えはじめた。来週以降は、どんなことが起こっても受け止めるという覚悟で臨もうではないか。
『どうする家康』は、NHK総合で毎週日曜夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夜6時からスタート(BS4Kは昼0時15分から先行放送あり)。6月25日の第24回『築山へ集え!』では、妻と息子が不穏な動きをしていることを知った家康や、今川氏真(溝端淳平)などの人々が、様々な理由で瀬名の待つ築山に集まる様が描かれていく。
文/吉永美和子
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