ほたえる、いらう…若い関西人はわからん? 大阪弁クイズ話題

2023.6.7 14:15

大阪の観光地「通天閣」

(写真3枚)

「あなたは生粋の関西人です!」など、ツイッターで度々トレンドにあがる関西弁・大阪弁クイズ。先日もWEBサイト「クイズメーカー」で作成された「激ムズ大阪弁クイズ」(プレイ数154万回)が話題となった。

「激ムズ」とあっても日常的に大阪弁を使う人間ならきっと簡単なはず・・・と大阪育ちの筆者もチャレンジするも、意外に難しい。「ほたえた」「えらい」など耳慣れない言葉もあり、なんとか全問正解したものの、後半は勘頼りだった。

ほかの人は解けてるのだろうかと、クイズを解いた人の感想を探してみると、「聞いたことない大阪弁あった」「普通に知らんやつあったってw」と同じく苦戦した様子。

ネイティブ大阪人であっても理解できない言葉・言い回しが含まれる大阪弁クイズ。難しさの謎に迫るべく、方言や日本語について研究する奈良大学の岸江信介教授に聞いてみた。

「めんち」はヤンキー専門の方言?

──岸江教授もさっそくクイズに挑戦されたとのことですが、岸江教授から見てクイズの難易度はどう感じましたか? 今ではあまり使われていない言葉などもあり、難しかったです。

そうですね。「大阪弁」ということは、大阪市域で使用されている言葉が中心とされますが、関西のほかの地域で使用されている言葉も入っており、地域がばらばらに出題されている印象です。

また、世代の面からみても、伝統的な方言と若者世代が用いる新方言が交じっているため、中高年層の間で用いられる伝統的な方言に絞る方が分かりやすい気がしますね。

──なるほど。ちなみに大阪以外だとどの地域の方言も混ざっているんでしょう?

「ええしのこはおぼこてかなん」の「かなん」や、「めんちきられてもたさけほたえた」の「めんち」は大阪だけでなく、京都・奈良でも使います。「めんちきられて」は伝統的な方言ではなく、1980年の「ツッパリブーム」以降に流行し始めたヤンキーや不良が使う言葉だとされています。

7問目の「めんちきられてもたさけほたえた」(引用元:クイズメーカー)

──「めんち」って意外と最近使われるようになった言葉なんですね。ほかの質問に比べて、「いらわんといて」だけ正解率が78.1%とやや低めでした。これってどういった理由が考えられるんでしょうか。

うーん、正直なところ正解率が低かった理由ははっきりと分かりません。ただ「いらわんといて(いらう)」は、江戸の俳人・越谷吾山による日本初の方言辞典『物類称呼』(1775年刊)にも登場する上方の方言です。伝統的な方言ということもあり、分かる人が少なかったのかもしれませんね。

もうひとつ考えられる理由としては、「いらわんといて」以外の「触らないで」という方言として、関西では「いろわんといて」という言い方もあります。「いろわんといて」を昔から使っている人にとっては「いらわんといて」は馴染みがうすく、意味が分からないという可能性が考えられます。

3問目の「いらわんといて」(引用元:クイズメーカー)

──それでいうと「ほたえた」も、なかなか最近聞かない言葉です。

「ほたえた」も『物類称呼』に登場する言葉なので、たしかに古い言葉ではありますが、昭和の時代には京都・大阪を中心に関西各地で使用されていました。現在でも、70代半ばの方にとっては十分「使用語(※会話や文章で使う言葉)」だと思います。

その子世代(40~50代)はほとんど使用することはありませんが、子ども時代に祖父母や両親が使うのを聞いたことがあるので「理解語(※自分で使うことはないが、意味は理解できる言葉)」に該当します。

30代以下となると「聞いたこともない」という人が急激に増えていると予想されます。数百年以上にわたり上方の方言として使われてきた「ほたえる」ですが、今、この方言の意味を知らない人が増え、やがて死語となる日も近いようですね。

岸江教授によると「着やん」「ちゃり」は若者が使う新方言、「ええし」「おぼこい」などは伝統的な方言にカテゴライズされ、「~さけ」は大阪でも泉南地方でのみ使用される言葉だという。

さまざまな世代や地域が混合され、文字通り「激ムズ」となった大阪弁クイズ。迷うことなくスムーズに解けた人は、かなりの大阪弁フリークかもしれない。

取材・文/つちだ四郎

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本