成島出監督&役所広司「日本映画の王道で家族を描いた作品」

2023.5.8 19:00

映画『銀河鉄道の父』の成島出監督(右)と主演の役所広司

(写真6枚)

「成島監督でしたから、最初から受けようと」(役所)

──1996年に役所さんとお会いしたとき、「今、脚本を書いている成島出という人には注目しておいた方がいいですよ。いずれ監督になりますから」って言われたことを覚えてます。

役所:ええ、言ってましたよね。

成島:僕はドラマ『傷だらけの天使』(1974年)などで知られる市川森一さんの脚本が大好きなんですが、役所さんもそうで、すぐに打ち解けたんです。でもずっと、「君は脚本が書けるんだから監督にはなるな。監督は食えないぞぉ」って言ってたんですよ(笑)。

宮沢賢治の父・政次郎を演じた俳優・役所広司

──役所さんは、今回のお仕事のお話がきたとき、どのように思われたのですか?

役所:原作を読んでみて、賢治の父・政次郎という人は、おそらく本人も気づいてないような「愛敬」のある人だったのでは、と思ったんです。それで、やってみようかなと。まあ、成島監督からのお話でしたから、最初から受けようとは思っていましたが(笑)。

──宮沢賢治を演じているのは菅田将暉さんですが、これも最初から想定されたキャスティングですか?

成島:そうです。政次郎役は役所さんで、賢治役は菅田さんでと同時に思いました。賢治の持つ純粋さと荒ぶる魂とその両方を体現できる人って考えたら菅田さんしか思いつかなかった。

──役所さんは、菅田さんとの共演は初めてですよね。

役所:初めてです。実は今回の映画で家族を演じている俳優さんとは、田中泯さん以外、全員初共演でした。泯さんは『峠 最後のサムライ』(2022年)に続いて僕の父親役で、泯さん本人は「そんなに歳離れてないのになぁ」とおっしゃってましたが(笑)。菅田さんのことは、青山真治監督の『共食い』(2013年)から観ていて、いい俳優さんだと思っていました。

映画『銀河鉄道の父』のワンシーン ©2022「銀河鉄道の父」製作委員会

──その菅田さんと、宮沢賢治親子を演じられたことについてはどうお考えですか?

役所:親子役っていう、こういう形での共演もあったんだなと思ったのと、これまで僕は宮沢賢治のことをあまり知らなかったのですが、この仕事に携わったおかげで改めて賢治の面白さ、スゴさを知って、これは確かに菅田くんにぴったりだな思いました。

──宮沢賢治という人物と作品について、この仕事を通してどのように思われましたか?

役所:興味が湧きましたね。生前には人から認められなかったわけですけど、早く生まれすぎたのかなぁなんて思ったし、さらに彼の文章や言葉に深く触れると、「雨ニモマケズ」ってなんだろうって思っていたのが、感動に直結するみたいなことはありました。

映画『銀河鉄道の父』

2023年5月5日(祝・金)公開
監督:成島出
出演:役所広司、菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯
配給:キノフィルムズ

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