GWにチェック! 2022年の「ベスト洋画」を評論家が選出

2023.5.6 21:30

映画評論家の春岡勇二氏、ミルクマン斉藤氏、華崎陽子氏(左より)

(写真4枚)

「デル・トロの好きそうな要素がいっぱい」(斉藤)

春岡:あと俺は、ホアキン・フェニックスと甥っ子との共同生活をモノクロで描いたマイク・ミルズ監督の『カモン カモン』が好きだったな。

華崎:私も!

春岡:『ベルファスト』よりよほどモノクロでさ、似たようなのを選んでるって言われるかもしれないけど。

映画『カモン カモン』予告編

斉藤:でも、マイク・ミルズ監督ってやっぱり自伝的な話ばかり撮るよね。。母親を亡くして父親がゲイに目覚める『人生はビギナーズ』(2012年)も真実だし、監督第1作の『サムサッカー』(2006年)も自分の話で。きっと『カモン カモン』もそうだと思う。

華崎:監督の母親と娘をモデルに撮った『20センチュリー・ウーマン』(2017年)もそうですしね。

斉藤:彼はもともとグラフィックデザイナーで、スパイク・ジョーンズらと仲がいいし。

春岡:あと、ギレルモ・デル・トロ監督の『ナイトメア・アリー』も挙げとかないといけない。

華崎:確かに。野心溢れる青年がショービジネス界でのし上がっていくんだけど、その先にとんでもない闇が待ってるという。

斉藤:あれは「フィルム・ノワール」(暗黒映画)が撮りたかったんだろうね。デル・トロの好きそうな要素がいっぱいやん。原作もいわゆるファム・ファタール(魔性の女)もののノワール小説だけど。見世物小屋のシ-ンなんて、トッド・ブラウニング監督の『フリークス』(1932年)へのオマージュに溢れてる。

https://www.youtube.com/watch?v=CP5qgYEQbE4&t=1s
映画『ナイトメア・アリー』予告編

春岡:ファム・ファタールがケイト・ブランシェットって、そりゃ男はどうしようもない(苦笑)。

斉藤:ケイトも完全に、50年代ファム・ファタールの典型を完璧に体現してたし。

春岡:『ナイトメア・アリー』は見世物映画としての面白さをちゃんとやりましたって感じして、デル・トロの愛情を感じたなぁ。

斉藤:デル・トロはそうなのよ。自分の映画を芸術にしたくないわけ。もともと怪獣映画とかSFとか大好きな人だから。でも、どうやっても上品になっちゃう(笑)。

春岡:主人公・スタン役のブラッドリー・クーパーも上品じゃん。下衆さを漂わしながらも上品。

華崎:イーストウッドと組んでから、さらに良くなってますよね。

映画『ナイトメア・アリー』 (C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

春岡:「後は頼むぞ」ってイーストウッドが言ったとか。ホントかウソか知らんけど。

華崎:ホントかな(笑)。

斉藤:そうではあるんだけどさ(笑)。さもありなん、って思っちゃう。

春岡:だから『ベルファスト』も『カモン カモン』もすごく懐かしくて、この『ナイトメア・アリー』も結局そういう風な懐かしさが自分のなかのカテゴリーに入ってるんだよな。

華崎:そう言われると、そういう気がしてきます。

春岡:内容は全部違うし、それぞれ面白いんだけど、ちょっと俺自身の気持ちが内向きになってんのかなって感じがする。どこかノスタルジックな映画を求めてる。

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