仏教美術の殿堂で、奈良らしい無料のワークショップスペース

2023.5.14 10:15

5月4日のGW中に開催されたワークショップ「ほとけさまに服を着せよう!」の様子

(写真5枚)

「奈良国立博物館」(奈良県奈良市)の地下回廊の一角に、仏教美術について体験的に楽しく学べる教育普及スペース「ちえひろば」が5月14日にオープン。奈良らしい仏像に関連するワークショップなどが、気軽に無料体験できるようになる。

■ 100体近くが一堂に会する「なら仏像館」にも立ち寄って

「仏教美術の殿堂」と称される同館ならではのワークショップは2種類。クイズや触れる展示を楽しめる『まいにちワークショップ』と、毎月第2・4日曜に開催される文化財のレプリカを活用した『とくべつワークショップ』だ。

正式オープンに先立って、5月4・5日に『とくべつワークショップ』の「ほとけさまに服を着せよう!」「絵巻物をみて!きいて!さわろう!」がおこなわれ、朝10時30分の回には、約20人の参加者のほかに、40~50人ほどの見物人が集まるなど、盛況ぶりを見せた。

4日開催の「ほとけさまに服を着せよう!」は、同館が所蔵する鎌倉時代の阿弥陀如来立像(裸形)の精巧な復元模造(レプリカ)を使用し、実際に仏像が身に着ける衣を1人で順に着付けしていく内容に。指南する同館のボランティアガイドが一枚着せるごとに「これは裙(くん)です」など、名称等を分かりやすく説明してくれる。

子どもの参加者も多く、東京から家族で奈良観光に来たという、あやかちゃん(8歳)は、「普段、仏像に触れ合う機会が無いので、楽しかった」と感想を語ってくれた。

5月5日開催の「絵巻物をみて!きいて!さわろう!」の様子 画像提供:奈良国立博物館

また、5日におこなわれた絵巻物のワークショップは、同館所蔵のさまざまな悪鬼を退治する善神が描かれた国宝「辟邪絵(へきじゃえ)」や国宝「地獄草紙」などを大型化したレプリカを用いて読み聞かせしたあと、実物大のレプリカを実際に触ってもらい、昔の人々がどのように絵巻物を扱っていたかが学べる内容となった。

これらを考案した、同館で教育普及を担当する翁みほり研究員は、「常時100体近くの仏像が一堂に会する(奈良博の)仏像館は、世界的にも珍しいです。特別展だけでなく、仏像館にも足を運んでいただけたら。そのため、仏像に関わる内容を中心に考えました。仏像館を訪れる前に立ち寄って、仏教美術って何だろう? と体験的に知っていただけたら。もちろん、事後学習でも大丈夫です」と思いを語る。

教育普及スペース「ちえひろば」で学んだ内容をさらに深めることができる地下回廊の仏像の制作過程などが分かるレプリカ

■ 「仏像&ならはくミニクイズ!」など今後増えていくプログラム

5月16日からスタートする『まいにちワークショップ』では、3つのプログラムを用意。そのうち「仏像&ならはくミニクイズ!」は、奈良時代後期~平安時代初期の仏像制作で大流行したカヤ材、飛鳥時代に主流だった楠材など5種類の仏像制作に用いられた木材に触れ、香りを楽しめる。「自分が仏像をつくるなら?と材を実際に選んでいただき、占い気分で楽しんでほしい」と翁さん。

今後、どのワークショップもプログラムが増えていき、何度訪れても楽しめるようにするそう。ワークショップは、10時30分~15時30分で随時受付(無料)。詳細は公式サイトにて。

取材・文・写真/いずみゆか

「奈良国立博物館」

住所:奈良市登大路町50番地
時間:5/1〜7/7=9:30〜17:00、7/8〜9/3=9:30〜18:00
(毎週土曜は〜20:00、いずれも入館は閉館の30分前まで)
料金:一般700円、大学生350円
電話:050-5542-8600(ハローダイヤル)

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