ミュージカル界の申し子・浦井健治「翼をいただけた作品」

2023.3.30 19:00

ミュージカル『アルジャーノンに花束を』で、9年ぶりに主演チャーリイ・ゴードン役をつとめる俳優の浦井健治

(写真7枚)

■ 「9年という歳月で、自分が感じることが多くなった」

──その一方で、チャーリイの知性の変化は表現しなければいけないという、矛盾をはらんだ状況ではあります。でもミュージカルだと、音楽をシンプルで明るいものから、複雑でシリアスなものに変化させることで、それをあざやかに表現していますよね。

ミュージカルが表現できる「可能性」について話す浦井健治

そうなんです。ストレートプレイやドラマだと、そこがすごく難しいと思うんですが、ミュージカルだと「変わっていない」とセリフで言いながらも、歌が変わっていくことで、他者からはチャーリイが変わったように見えることが表現できる。音楽によって彼の二面性を同時に表現できるのが、ミュージカル版の強みです。

──それ以外にも「これ、ミュージカルだからこそだな」と思う見どころは?

ダンスの使い方ですね。動物実験のマウス・アルジャーノンを、ダンスで表現するというシーンもあるし、視覚的にすごく楽しめるところが多いんじゃないかと。

──そのアルジャーノンが、チャーリイと等身大で登場するというのが、演劇的な仕掛けのおもしろさでもありますが、実験体の宿命と悲しみを背負うもの同士のつながりが、より強く見えてくるという効果もありました。

しかもアルジャーノンを表現している役者に、チャーリイの子どもの頃や、死が訪れる姿を投影して、直面させることもできる。人間が必ず向き合うべき時間・・・それはかけがえのない時間かもしれないし、赦しの時間かもしれないし、最大の学びかもしれない。それをアルジャーノンを通して向き合わせることができるのは、舞台の強みだと思います。

舞台『アルジャーノンに花束を』の日本初演は2006年、17年という月日が流れてもなお同作に挑む浦井健治

──そんな世界に帰還するわけですが、9年ものブランクを経て同じ役を演じるというのは、めずらしいことですよね。

確かにそうですね。再演のときの最後に(共演した)安寿ミラさんが「ライフワークにするべきなぐらい、この役はあなたに合っている」という、表彰状みたいな言葉をくださって、またトライできる時があればとは思っていましたが、今回このタイミングでやらせていただくことになり、怖くもあるけれど光栄です。

──「怖い」というのは?

9年という歳月で、自分がいろいろ感じることが多くなっているんじゃないか? という怖さ。どんな単語を1番大切にしたいかも変わってると思うし、お客さまになにを伝えたいかという、心の花束の色もどう変わってくるか。あるいは時代が変わってきているので、色とりどりのどんなものをギフトにしても自由だ、という解釈もできるかもしれない。

ミュージカル『アルジャーノンに花束を』

会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール(大阪市中央区大阪城3-6)
期間:5月13日(土)〜14日(日)
料金:1万3500円

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