SNSで賛否の「ライブで耳栓」、需要増の背景は「普段遣い」

2023.3.3 08:30

「ライブ用耳栓」、普通の耳栓とは何が違うの?

(写真5枚)

先月、「公演中にライブ用耳栓を着用していたら他のファンに『失礼じゃない?』と言われた」といった投稿がSNSで話題に。しかし、記者も「ライブ用耳栓」という製品の存在を知らず・・・。どういう仕組み?なんのために着けるん?ということで、イヤホン・ヘッドホン専門店「e☆イヤホン大阪日本橋本店」(大阪市浪速区)の芝英明さんに話を訊いた。

■2020年ごろから、需要が急激に増加

──そもそも「ライブ用耳栓」とはどんなものなのでしょうか?

ライブ会場の大音量から耳を守るための耳栓で、主に耳への負担が強いといわれている高音域をカットしてくれます。

普通の耳栓は「全体的に音を遮断すること」を目的としているので、臨場感を損ねてしまう。でもライブ用耳栓は、メーカー側で減衰させる音域をチューニングしているので、そのまま耳で聞くのと同等の音質で楽しめるんです。

──音質は変えずに耳の負担を軽減してくれるのは良いですね!とはいえ「ライブで耳栓」には全然馴染みがないんですが、音楽好きの間では結構常識なのでしょうか?

そうですね。特にライブハウスに通う音楽ファンは持っている方も多いかと思います。最近はライブ直前に購入していかれる方も多いですし、ドーム公演などの広い会場で着けている方も見かけます。

──SNSでは、「最初は失礼なんじゃないかと思っていた」と、着用を躊躇していた声もありましたが・・・。

もちろんアーティストさんに失礼ということはありません。近年では、アーティストさん側から推奨してくれたり、「凛として時雨」や「キュウソネコカミ」といったバンドが公式グッズとして販売しているくらいなんですよ。

──そうなんですね。店頭にはいつ頃から並ぶようになったのでしょうか。

置き始めたのは5年以上前です。今では52種類を取り扱ってまして。ここまで増えたのはここ2、3年です。

──きっかけはなんだと思いますか?

「イヤホン難聴」が問題になったことだと思います。近年では、WHO(世界保健機関)が「12〜35歳の人口の半分が難聴になる危険性がある」と警鐘を鳴らしているほど深刻な問題になっているそうで。ワイヤレス型が普及して、イヤホンを常に着けている人が増えましたからね。

「睡眠用」「飛行機用」「音楽用」…など、幅広い用途別にラインナップのある耳栓

■ライブだけでなく・・・「普段使い」にも

──確かに言われてみると店内には「ライブ用耳栓」以外にも、「睡眠用」から「花火鑑賞用」まで、さまざまなものがありますね。購入される方の傾向を教えてください。

一番は、勉強用に買われる方が多いですね。そのため受験シーズンはよく売れます。ほかにも自宅でお仕事される方や騒音問題を抱えている方、高音域の音が強く聞こえるなど音に敏感な方などが購入されるのを見かけます。

──完全に遮断するのはちょっと・・・、みたいなときにも使いやすいですね。

そうなんです。特に「ライブ用耳栓」ですと今やいろんなブランドが出しているので、お気に入りを見つけて1つ持っておくと良いのかな、と思います。

「このままじゃ難聴になりますよ」という話題になることはあっても、その対処法についてはあまり知られていない。でも「耳を守るためにライブに行きません!」は、もったいないじゃないですか。ライブ用耳栓を付けるだけで、音楽を楽に長く楽しめるんです。認知度をもっと広めて、ライブ用耳栓が当たり前の世界になれば良いな、と思います。

──ありがとうございました。

コロナウイルス対策が緩和され、ライブが日常に戻りつつあるいま、耳への負担を見直してみては?

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