イケメン僧侶がナビ、京都「黄檗ランタン」のここがスゴい!

2023.1.16 20:00

「隠元禅師渡来」のランタン前にて、「萬福寺」の黄檗宗宗務本院主事・辻岡智幸さん

(写真7枚)

京都・宇治市にある「黄檗宗大本山萬福寺」で現在開催中の『黄檗ランタンフェスティバル』(1月31日まで)。すべて本場・中国から送られた中国ランタンを使用しているため、「中国文化との架け橋」とも言われているが、実際なにがおもしろいの?

そこで、イケメン僧侶として話題の辻岡智幸さんに案内してもらいながら、同イベントの見どころや、会場となる「萬福寺」について教えてもらいました。

●なぜ宇治で中国ランタン? 「萬福寺」のつながり

「すごいイルミネーションがある!」と聞いて、JR・京阪「黄檗駅」から徒歩すぐの「萬福寺」へ。そこで目にしたのは、日本のそれとは全く異なる異国情緒あふれる光の共演。「中国ランタン」と呼ばれる、動物や植物、建物、船などを模した提灯がずらりと並ぶ光景はあまりにも壮大だ。

仏教を象徴する花・蓮を描いた「神聖な蓮池」(写真は夜に撮影)

では、どうしてこの「萬福寺」が中国ランタンを使用した大規模なイベントを開催しているのだろうか? 『黄檗ランタンフェスティバル』開催に大きく関わった、「萬福寺」の黄檗宗宗務本院主事である辻岡智幸さんに境内を案内しながら説明してもらいました。

「萬福寺は、中国・福建省にある『黄檗山萬福寺』の住職で、中国明朝時代の臨済宗を代表する隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師によって1661年に創建されました。そのため、この『萬福寺』の伽藍(境内の建物の配置)は、古黄檗(こおうばく・中国の萬福寺)とまったく同じように作られていて、お寺の入り口である総門は、遠く離れた古黄檗の総門と向かい合っているんです」(辻岡)

海のうねりをイメージしているという「萬福寺」境内の石畳

境内には日本の寺院とは趣の異なる建物や、隠元禅師が日本に船で渡ってきた際の海のうねりをイメージした石畳、創建当初から使われていた井戸、「卍くずし」と呼ばれるデザインや桃の実の形をした「桃符」という飾りなど、ほかではあまり見られないものがたくさんあり、境内を散策するだけでも見どころが多い。

●4万坪の敷地全体を活用、ランタンフェスの見どころは?

そんな縁から実現した『黄檗ランタンフェスティバル』。辻岡さんに見どころを聞いてみると、「やはり、当寺の敷地4万坪をめいっぱいを使用しているところでしょうか。行事の関係でランタンを設置できなかった場所もあるんですが、境内全体で楽しんでいただけるよう広い範囲に設置しました」(辻岡さん)。

4万坪の広大な敷地の各所に、大がかりなランタンが随所に配置されている

なるほど、華やかな総門から三門を抜けた先にある天王殿までの間は、隠元禅師が乗ってきた船や伝説の動物・麒麟を模したランタン、孫悟空や桃のモチーフでドラマチックに飾られた「蟠桃会の孫悟空(ばんとうえのそんごくう)」などが集まり、神秘的かつ煌びやかな雰囲気。

そして、開山堂のそばの「仕女の花見(しじょのはなみ)」や「鹿王本生(ろくおうほんしょう)」などが境内に点在し、境内最深部のランタン「上善若水(じょうぜんはみずのごとし)」は、後ろに構える法堂(はっとう)がランタンのかすかな灯りで照らされ、あまりにも厳かで声を出すのもためらうほど。

さまざまなランタンを組み合わせた「仕女の花見」(写真は夜に撮影)

「境内が重文ばかりで、保護の関係で重機が入れず、図らずとも境内の奥にいくにつれて寂しい雰囲気になってしまったのですが、そう思っていただけるとありがたいです」と辻岡さんは謙遜するも、歴史ある「萬福寺」境内と中国ランタンとのコラボレーションは圧巻です。

●中国から来たランタン技師に驚きの連続

そんな辻岡さんも、事前の準備のために中国から訪れたランタン技師とのやり取りは驚きの連続だったという。「合計17人の技師さんがいらっしゃったんですが、最初はどの方が代表なのか、誰が通訳なのかが分かりませんでした。通訳もかなり大まかだったので、ほとんど身振り手振りでランタンの位置などを指示して。まずは言葉の壁がありましたね」と振りかえる。

中国から来日したランタン技師との思い出について振りかえる辻岡智幸さん

また、「ホテルを取っていなかったようで、急遽お堂での生活となったんですが、まったく動揺することなく淡々と生活を始められて。朝早くから暗くなるまで一生懸命働くんですが、週2日の休日はまったく動かず全員ずっとスマホを触りっぱなし。電波の関係か、お堂の外で月夜の下に集まって、みなさん家族とビデオ通話してました」(辻岡さん)と、数カ月に及ぶ生活にも驚きばかりだったそうです。

●辻岡さんおすすめの写真スポットはここ!

最後に辻岡さんおすすめの写真撮影スポットを尋ねてみると、「三門の手前にある『幸福満載』ですね。ここは舞台に立って両手を開いて『十』の字になることで、『福』という文字が完成します。大きな字なので迫力もありますよ。それと、三門の先にあるブランコ。お子さまも楽しめますし、ここもいい写真が撮れると思います」。また、総門そばの放生池に広がる「神聖な蓮池」も必見だとか。

辻岡智幸さんおすすめの撮影スポット、円満な幸せを得ることができるという「幸福満載」

そして、「イルミネーションだけじゃなく、建物や回廊、像など、『萬福寺』には見ていただきたいものはたくさんあります!」と辻岡さん。普段は観光客の案内をはじめ、座禅の体験や禅の研修をするなど、拝観者と接することが多いそうで、その洒脱なトークも見どころのひとつ。境内の散策中に見つけたら、ぜひ辻岡さんに声をかけて「萬福寺」および『黄檗ランタンフェスティバル』の魅力にふれてみて。同イベントは1月31日まで開催(料金は大人2500円、中高生1000円、小学生以下無料)。

『黄檗ランタンフェスティバル』
期間:2022年10月28日(金)〜2023年1月31日(火)
時間:夕方5時〜夜9時(最終受付:夜8時半)
会場:萬福寺境内(京都府宇治市五ケ庄三番割34)
料金:大人2500円、中高生1000円(小学生以下無料)
公式サイト

取材・文/上地智 写真/本郷淳三

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