デビュー３０周年を迎えたシンガーソングライター・広瀬香美の特集番組が、ＷＯＷＯＷにて２カ月連続で放送・配信される。

１９９２年にデビューし、ＣＭソングに起用されたシングル『ロマンスの神様』が約１７５万枚という驚異のセールスを記録。映画の主題歌となった『ゲレンデがとけるほど恋したい』など、冬の代名詞として親しまれる名曲群を生み出し、冬の女王として不動のポジションを確立した広瀬。

２０２０年には自身のＹｏｕＴｕｂｅチャンネルで公開した「広瀬香美の〇〇歌ってみた」動画の自由奔放すぎるパフォーマンスが話題を呼び、２０２２年にはＴｉｋＴｏｋで『ロマンスの神様』のユーザー振り付け投稿が関連動画再生数１６億回を突破。『ＴｉｋＴｏｋ２０２２上半期トレンド大賞』に輝くなど、若い世代の間で広瀬香美ブームが巻き起こった。

バブル世代の青春を彩った彼女が３０年後の今、再び脚光を浴びることになろうとは。誰も想像しない出来事だったが、広瀬自身は２００９年に日本人初となるＴｗｉｔｔｅｒコンサートを開催するなど、以前からネット動画配信に力を入れており、突き抜けたキャラクタ＆トークも令和の時代に見事マッチしていたのだ。

今回１月に放送されるのは、デビュー３０周年を記念した最新コンサート。冬の代名詞として親しまれてきた名曲の数々をフルオーケストラアレンジで披露するという。

ポップメイカーのイメージがある広瀬だが、実は３歳からクラシック音楽の英才教育を受け、６歳で作曲を開始、国立音楽大学で学んだ経歴の持ち主。今回のライブではピアノ演奏を披露するほか、なんと指揮にも初挑戦。３０周年を迎えてなおチャンレンジし続ける真摯な音楽家としての彼女を発見できるはずだ。

また２月には「広瀬香美 Ｍｕｓｉｃ Ｖｉｄｅｏ Ｃｏｌｌｅｃｔｉｏｎ」と題して、歴代ミュージックビデオを一挙放送。たとえば、クリスマスの再会を願う切ない心情を歌った『ＤＥＡＲ…ａｇａｉｎ』では、遠く離れてなかなか会うことのできない恋人を思う女性を広瀬が好演するなど、どのミュージックビデオにも彼女らしいこだわりと遊び心が満載されている。

当時はＭＴＶ（音楽専門チャンネル）全盛期で、「映像を制する者は音楽をも制する」と言われた時代。ＭＴＶに影響を受けてポップミュージックに目覚めた広瀬が現在、ＹｏｕＴｕｂｅやＴｉｋＴｏｋを駆使して再ブレイクしたのは偶然ではない！と膝を打たずにいられない。今のＺ世代も必見の貴重な放送となりそうだ。

広瀬香美『ｂｉｌｌｂｏａｒｄ ｃｌａｓｓｉｃｓ Ｋｏｈｍｉ ３０ｔｈ「ロマンスの神様」Ｓｙｍｐｈｏｎｉｃ Ｃｏｎｃｅｒｔ』の放送は１月２８日・夜８時からＷＯＷＯＷプライム・ＷＯＷＯＷオンデマンドにて。『広瀬香美 Ｍｕｓｉｃ Ｖｉｄｅｏ Ｃｏｌｌｅｃｔｉｏｎ』は２月８日・夜８時から放送・配信される。

文／井口啓子