16年ぶりにコトーが帰還、吉岡秀隆「本当に、不思議な映画」

2022.12.28 20:30

映画『Dr.コトー診療所』の吉岡秀隆(中央)、筧利夫(左)、中江功監督

(写真7枚)

2003年~2006年に放送されたテレビドラマ『Dr.コトー診療所』。さいはての島・志木那島に赴任した「コトー」こと五島健助医師と、島民たちとの命のやり取りを繊細に描きだし、最高視聴率25%を記録する大ヒットシリーズとなった。

そのコトー先生が16年ぶりに、しかも映画となって帰還(12月16日公開)。主人公・コトーを演じる吉岡秀隆をはじめ、すべてのメインキャストが続投するという、往年のファンには最高の形での復活となった。その映画化に向けての歩みを主演の吉岡秀隆とコトーの良き相棒・和田役の筧利夫、そして、メガホンをとった中江功監督に聞いた。

取材・文/吉永美和子 写真/バンリ

◆「あらすじを見たとき、涙しました」(吉岡)

──恥ずかしながら私は、ドラマシリーズの熱心な視聴者ではなく・・・いきなりこの映画からはいったのですが、最初の20分ぐらいでコトー先生や島の人たちの背景や関係性が丁寧に説明されていたこともあり、なんのハンディも感じずに楽しむことができました。

吉岡「よかったー(笑)。初めて観る人でもちゃんとわかるように・・・というのを、僕らは一番気にしていたので」

中江「あの冒頭はどちらかというと、昔観ていた人に『あー、これこれ!』と思ってもらいたくて描いたんですよ。でも確かに『あそこで全部が見える』と言われたらそうですね。今回決めていたのは、ドラマの回想シーンとか『昔はこうだったよね』という会話を入れないということ。それをやるとやっぱり『ドラマを観ていないと楽しめないな』という風になるので」

映画『Dr.コトー診療所』 ©山田貴敏 ©2022 映画「Dr.コトー診療所」製作委員会

筧「僕は冒頭を観たときに、昔2本立てでやっていたアイドル映画みたいだなあと思いました(一同笑)。コトー先生をいきなりフルショットで撮らないで、下の方からずーっと現れてくるという感じが、中高生のときに観ていた併映のアイドル映画を思い出しました」

──・・・それって、監督は意識されてたんですか?

吉岡「アイドル映画を? 意識してたら恐ろしい(笑)」

中江「いやー、それはまったくなかったです(笑)」

──今回の続編は、10年以上前から検討されていたそうですが、このタイミングで実現したきっかけはなんだったんでしょうか?

中江「『またやろう』という話はいくつかあったんですけど、前の(2006年の)シリーズでやり切った感もあって。でもやっぱり、この数年のコロナ禍を通して、会える人と会えるうちにまたやりたいと思うようになったのが、すべてのきっかけでした」

吉岡「このメンバーともう一度仕事をしたいけど、じゃあ何をやる? って。コトーにとっての問題とか、映画にするための意味みたいなテーマは、最初はなかったです」

映画『Dr.コトー診療所』のワンシーン ©山田貴敏 ©2022 映画「Dr.コトー診療所」製作委員会

中江「そこからどんな話にするかを考えたときに、コトー先生が(島に)来てから20年が経って、島のみんなはどうしているんだろうか? と。先生がいることが当たり前になって、みんな助かってはいるけど、その存在に甘えてるんじゃないか? みたいなことを、外から来た新しい人に浮き彫りにしてもらって、そこから未来の希望につなげるというのを、ひとつの見せ場にできるかもしれない・・・と思いました」

吉岡「脚本ができたら監督と話して、また修正稿ができたら話し合って・・・という作業が続きましたけど、最初に『こういう流れで』というあらすじを見たときは、やっぱり涙しました。『ああ、そうか。なるほど』という感じで」

筧「最初はてっきり、ドラマ(で復活)だと思ってましたね。映画だと、また違うスケール感になるから『ちょっと演技を変えないといけないかな?』と考えました。映画(の演技)って、具体的に動くと具体的になり過ぎちゃうから、やっぱりちょっと小さくして・・・まあ、同じと言われたら同じなんですけど(笑)」

映画『Dr.コトー診療所』

2022年12月16日公開
監督:中江功
出演: 吉岡秀隆 柴咲コウ
時任三郎 大塚寧々 高橋海人(King & Prince) 生田絵梨花
蒼井優 神木隆之介 伊藤歩 堺雅人
大森南朋 朝加真由美 富岡涼 泉谷しげる 筧利夫 小林薫
配給:東宝

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本