あの「四畳半神話大系」が悪魔的融合、夏目真悟監督に訊く

2022.10.5 09:00

©2022 森見登美彦・上田誠・KADOKAWA/「四畳半タイムマシンブルース」製作委員会

(写真4枚)

「明石さんのかわいさがすごく出せた」(夏目監督)

──でも、主人公の「私」らが住むおんぼろアパートの「下鴨幽水荘」自体は時間が止まったみたいで。おそらく25年先もこのまま止まってるだろう、と。

25年後もまったく変わってないと思いますよ。100年先もあまり変わらないだろうなと。上田さんが言ってたんですけど、「京都じゃ、創業100年ぐらいじゃ老舗と言えない」と。やっぱり東京とか青森と比べて、そんなどっしりとしたスタンスの世界観だなと思ってやってましたね。

──先ほど、今回の作品のほうがウェットって言われましたけれども、やっぱり主人公の「私」とクールビューティー・明石さんとの関係性が『四畳半神話大系』より甘酸っぱくなっています。

そうですね。前のシリーズは四畳半から六畳間に引っ越すっていう終わりだったんですけど、今回はさらにもう一歩進んで、なんとなく四畳半の時代の終わりの雰囲気というか、学生的モラトリアムからの脱出みたいなものを匂わす寂しさみたいなものを、自分は原作を読んでいて感じたんで、そういうのが出ると良いなぁと思っていました。

──話が一段落してから、中華料理店に打ち上げに行くまでのあの時間が良いですよね。あの道中でもずっとヘラヘラしてるのが、やはり「四畳半」らしいし、それと同時に学生時代の黄昏を感じさせる。

上田さんが仰ってました。なんか好きだって。

ヨーロッパ企画・本多力が演じたモッサリ青年・田村くん ©2022 森見登美彦・上田誠・KADOKAWA/「四畳半タイムマシンブルース」製作委員会

──そんなおなじみのメンバーに、タイムマシンで未来からやってきたモッサリ青年・田村くんが今回入ってくるというのがちょっと驚きですよね。まさに『サマータイムマシン・ブルース』との融合。しかも、(ヨーロッパ企画の)本多力さんが声をやってるなんて嘘やん! みたいな。

そうそう、本物だっていう(笑)。20年持ち役としてやり続けている本人が登場、まさにモッサリでしたね。第一声を聞いた時に「これが田村くんかぁ、そう来たかぁ」って。

──ほかのヴォイスキャストも、テレビアニメに引き続き登場する方ばかりです。みなさんやはり10何年という月日を経た上での感慨があるみたいで。

そうですね。やっぱりみんな心に残る作品になってたと思うんですよ。(主人公の声優)浅沼晋太郎さんもすごく思い入れが強くて、現場でも前作と今作の変化みたいなものをディスカッションして、その上で一緒に作っていった感じですね。やっぱりね、変わってるんですよ。変わってるのが成長なのか変化なのかは分りませんが、その隙間をどう埋めるかっていうのを浅沼さんも苦労したと思います。

──ま、主人公を堕落の学生生活に陥れる小津は相変わらずなんですけど。

吉野裕行さんはノビノビとやってくださいましたね(笑)

──『夜は短し恋せよ乙女』でもちょっと出演がありましたけど。

古本市の神様という役で、ちょっと子どもで、小津ではないけど小津っぽい。声も吉野さんですしね。森見ワールドのひとつに繋がってる。

──ワールドがどんどん広がって、ついにヨーロッパ企画と結びついたかっていう。

まさにね。ダイレクトに返ってきましたからね、今回。

──で、ヒロインである明石さんの間の抜け方が異様にかわいいですよね。前回はパラレルワールドの話だったから、エピソードごとにいろんなサークルを渡り歩いてましたけど、今回はひとつ時系列のなかなので映画サークルに固定されていて。しかも、へっぽこ映画ばかり撮っている(笑)。

テレビアニメのときは「私」の主観的なモノローグで語られたけど、今回は会話劇ですから。人間性をより掘り下げられたというか、明石さんのかわいさがすごく出せたなぁと。

──とりわけあの雪のシーンはたまらんですよね。

確かにそうですよねぇ。

『四畳半タイムマシンブルース』

2022年9月30日公開(3週間限定全国ロードショー)
原作:森見登美彦・著、上田誠・原案『四畳半タイムマシンブルース』(角川文庫/KADOKAWA)
脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
キャラクター原案:中村佑介
監督:夏目真悟
出演:浅沼晋太郎、坂本真綾、吉野裕行、ほか
アニメーション制作:サイエンスSARU
配給:配給:KADOKAWA/アスミック・エース

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