「東欧のシリコンバレー」ウクライナのIT企業、神戸に進出

2022.8.12 06:45

進出企業「CHIソフトウェア」のプロジェクト管理責任者、エレナ・モロゾワさん(8月10日・神戸市役所)

(写真10枚)

ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナを支援するため、4月にウクライナIT協会とオンラインイベントを開催した神戸市。8月10日におこなわれた市長臨時会見では、ウクライナのIT企業が日本法人を設立し、神戸にオフィスを開設すると発表した。

ウクライナやポーランドなどの東欧は、「東欧のシリコンバレー」と呼ばれるほど優秀なITエンジニアが多く、この地域に着目して侵攻以前から同国IT産業と関係を築いてきた神戸市。ウクライナ側も、IT産業の輸出先として日本を有力視していたため、互いのニーズがマッチした形だ。

このたび神戸に進出したのは、ソフトウェア開発をおこなう「CHIソフトウェア」。500人以上のエンジニアを抱え、日本にもこれまでに30を越える商品を提供している。2021年12月に神戸市とウクライナIT協会が開催したセミナーがきっかけで神戸進出を決め、2022年7月に業務を開始している。

会見は、神戸市役所と東京の在日ウクライナ大使館、ウクライナ2カ所の計4カ所をオンラインでつなぎ、ウクライナ語との通訳を介してオンラインで実施された。

同社のプロジェクト管理責任者エレナ・モロゾワさんは、日本のなかでも神戸を選んだ理由について「日本で2つめに大きい経済地域に位置しており、医療産業都市など、研究開発・イノベーション分野に優れているため」と説明。同社は、医療分野のソフトウェアにも多く携わり、強みが一致するという。

在日ウクライナ大使館のデニス・ヤコヴェンコ一等書記官も、港湾都市であることや、エネルギーや航空産業があることも神戸の強みとして挙げた。

これを受けて久元喜造神戸市長は、「ウクライナ側が神戸に対して、ITだけにとどまらず、医療産業都市や港湾など、幅広い期待をしてくれていると感じた」とし、「日本法人の設立でなくてもオンライン発注もあり得る。(ITだけでなく)より幅広い分野でのビジネスマッチング、息の長い経済交流支援を続けていきたい」と話した。

なお世界情勢の影響で、当面の間は、ウクライナ人エンジニアの来日は予定されていない。

取材・文・写真/合楽仁美

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