大阪発の「サンキューマート」、流行を追い続けた20年

2022.5.9 15:15

サンキューマートHEPファイブ店(大阪市北区)。ロゴや取り扱い商品の色合いは創業時から大幅に変化した

(写真21枚)

390円という安価で、クオリティの高いファッション雑貨やキャラクターグッズを販売する「サンキューマート」。若者から絶大な支持を集める同店が今年で20周年を迎えるにあたり、さらなるファン層を開拓しようと新たな動きを見せている。

そこで同店を運営する「エルソニック」(本社:大阪府吹田市)の広報部・津呂啓大さんに、これまでの歩みや商品開発へのこだわり、今後の展望について話を訊いた。

■ 第1号店はアメ村、古着やアメリカ雑貨を中心に人気に

「サンキューマート」は、2002年に大阪・アメリカ村で第1号店がオープン。開店時は、当時流行していた古着やアメリカ雑貨をメインに扱っていたこともあり、「古着屋」というイメージの人も多いだろう。

「お金がない10代・20代の人たちにも390円でオシャレや好きなものを楽しんでほしい」というコンセプトからはじまった同店。今でこそ低価格な均一ショップが増えているが、その頃390円で古着が手に入る店は異例だった。SNSも無い時代だが口コミをきっかけに全国的な広がりを見せ、現在では全国106店舗を展開するまでに。

2003年頃の「サンキューマート」アメリカ村店の様子

当初は仕入商品がメインだったが、「ええモンを、安く」にこだわるうち、どうしてもその基準に達する商品に出合えなくなったそう。「ならいっそ、自分たちで理想のサンキューマートを作り上げよう」という発想に転換し、開発も手掛けるようになった。これが「サンキューマート」躍進のはじまりだ。

390円で、390円では買えないクオリティを

市場で1000円、2000円の商品が390円で提供されるワケは徹底したコストカットで、商品の8割は自社開発。近年のヒット商品としては、累計販売数75万個を突破し(2022年3月現在)歴代売り上げ1位を記録した「ヘアアイロン」などがあげられる。実はこの裏側には、創業時より開発部で多数のヒット商品を手がけてきたとある社員による力が大きいという。

「前髪をサッと直したり、出先で使いたい」「普通のヘアアイロンは持ち運びにくいし、高い」という悩みや需要を聞きつけた社員が、「それならうちで出してみようか」とアイデアをまとめ、約120g(卵2個分)で19.5cmという軽量かつ細身なヘアアイロンを開発。発売を開始したところ、「便利すぎる」「390円はコスパよすぎ」と拡散され、爆発的な人気につながった。

同店で人気ベスト3に入るという「フェイスマーククッション」。なかでも「うんち」と「ぴえん」はロングセラー商品だ

また、キャラクターグッズを取り入れたこともターニングポイントだという。2015年、ドイツのグミキャンディー「HARIBO」のマスコット・グミベアを使ったアイテムを展開。まだ日本でのグッズ展開が少なかったグミベアグッズは瞬く間に話題を呼び、そこからキャラクターグッズも取り扱うことに。

最新トレンドを取り入れた商品だけでなく、『アドベンチャータイム』や『サウスパーク』といった海外アニメや、『シャイニング』や『IT』など往年の名映画のファッション雑貨など、ニッチなラインアップも売りのひとつだ。そんなマニアックなグッズ展開を楽しみにしているファンも多いといい、津呂さんは「『さすがサンキューマート』『やってくれると信じてた!』など言っていただけると、ガッツポーズを取りたくなります(笑)」と話す。

■ 「仕事は遠慮するな」の精神で…スピード命の商品開発

同社を引っ張ってきた副社長が繰りかえし口にしてきたという、「仕事は遠慮するな。遠慮すれば商機をのがす」という言葉通り、まだ知名度が高くないクリエイターとコラボしたり、ニッチな需要を反映したグッズを開発したりと、とにかく攻めの姿勢を貫いてきた同社。

商品開発部の多くは20〜30代の女性。SNSやテレビ、実店舗に出向くなどのリサーチに加え、「今、どうなん?」と、社員が気になっているカルチャーやクリエイターを話し合う機会を設けるなど、商品開発やトレンド予測に力を注いできた。

スピード感溢れる商品展開をおこなえる秘訣は何なのか? 津呂さんに聞いてみると、「若い人たちが好むトレンドは本当に移り変わりが早く・・・。いつも急かされ追い込まれていますが、それも楽しみながらやっています」と、最先端を発信し続けていこうとする貪欲な姿勢が垣間見えた。

■ 新たな価格帯への挑戦も「幅が広がって逆に悩ましい」

そんな同社では、長らくこだわってきた「390円」という値段帯にくわえて新たな値段設定をスタート。これまで「390円という価格で、390円では買えないクオリティの商品を提供する」というコンセプトがあっただけに、「どうしてもその価格帯では開発が難しい」と断念した商品もあったという。

初の「ダブルサンキュー」商品である「ワイヤレスイヤホン」。低価格だがデザインや機能性にはこだわった

しかし「390円にこだわるあまり、この価格なら作れないとあきらめてしまうのは違う」ということで、「ダブルサンキュー(780円)」「トリプルサンキュー(1170円)」という価格帯の商品を、近年開発しはじめる。津呂さんいわく「価格帯を広げたことで、商品の選択肢や作れるものの幅がまた一段と広がってしまいました。広がりすぎて、逆に悩んでしまうレベルです」と、なんとも楽しみなコメントも。

また、今年に入って「サンキューマートイオンモール大日店」や「サンキューマートSHIBUYA109阿倍野店」など、同店のルーツである関西を中心に新店を拡大。毎週入荷するという新商品はもちろん、20周年を迎える「サンキューマート」にますます注目していきたい。

取材・文・写真/つちだ四郎

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