笹子とのデュオも10年目…純名里沙、地元大阪でルーツを歌う

2022.4.17 08:15

「ビルボードライブ大阪」でバースデイ・ライブをおこなった純名里沙(3月15日)

(写真6枚)

1994年「宝塚歌劇団」に在団中に朝の連続テレビ小説『ぴあの』(NHK)で主演を務め、その後もテレビ、映画、舞台、ラジオなどで幅広い活躍を続けてきた純名里沙。近年はショーロクラブのギタリストにして、数多くの女性シンガーの名バッキングでの知られる笹子重治とのデュオによるアコースティック公演を全国各地でおこなっている。

3月15日に「ビルボードライブ大阪」(大阪市北区)でおこなわれたバースデイ・ライブでは、伴奏は笹子に加えて、元G-クレフのメンバーでもあるチェロ奏者の柏木広樹とピアニストの榊原大が参加。ボサノバ、クラシック、ジャズと変幻自在なトリオを得て、これまでの軌跡を多彩な選曲で辿るようなステージとなり、「宝塚歌劇団」に首席で入団した頃から傑出していた彼女の歌い手としての魅力を改めて豊かに示したセットとなった。

■ 序盤から振れ幅の広い曲選びで聴く者を魅了

バックを務める3人がチューニングを終え、笹子がボサノバ調のギターを奏で始めると純名本人がステージに登場してジャズ・スタンダード曲の『I Get A Kick Of You』で軽快に幕開け。

控え室ではサプライズで誕生日ケーキが用意され、テンションが高めであることをMCで話すと、それに続いて披露したのは、小学6年生のアマチュア時代、初めて受けたミュージカル劇団のオーディションで歌ったという『春なのに』。さらに2003年に出演した鴻上尚史のミュージカル『天使は瞳を閉じて』のなかで歌ったタイトル曲も劇中のセリフも交えながら取り上げて、序盤から彼女ならではの振れ幅の広い曲選びで聴く者を魅了していった。

テレビ番組『宝塚カフェブレイク』のテーマ曲となっている柏木のインスト曲『航海記』が奏でられている間に着替えて再登場すると、中盤は純名が初めて鑑賞した宝塚のショーで、当時月組のトップスターだった大地真央が歌っていたという『I Am What I Am』からドラマチックにスタート。

場内がエレガントなブルーの照明に包まれると、一転してオペラ的な唱法でミュージカル『キスメット』の楽曲で数多くの名歌手が録音してきた『Stranger In Paradise』を幻想的に響かせ、続いては映画『バグダッド・カフェ』でおなじみとなった名曲『Calling You』をしっとりと聴かせた。

特に、アコースティックな雰囲気から一転してディーヴァ的な持ち味を示した『I Am~』、ご本人もバーブラ・ストライサンドと並んで最も大好きな歌手に挙げるサラ・ブライトマンに通じる美しくも幻想的な歌声が秀逸だった『Stranger~』の2曲は、ヴォーカリストとしての変幻自在な魅力を強く印象付けた。

「ビルボードライブ大阪」でバースデイ・ライブをおこなった純名里沙(3月15日)

■ 『ラブ・ジェネレーション』主題歌のアレンジも

そして、自らも出演した人気ドラマ『ラブ・ジェネレーション』の主題歌としてヒットした大瀧詠一の『幸せな結末』を笹子による巧みなアレンジで披露すると、ブラジル音楽色の強いグルーヴィーにして流麗なバッキングを得ての『My Romance』へ。

終盤は、前曲と同じく2015年に笹子とのデュオで録音したアルバム『Silent Love ~あなたを想う12の歌~』で取り上げたチェット・ベイカーの名唱で知られる『I’ve Never Been In Love Before』、柏木のチェロのみを伴奏に『ウエスト・サイド物語』のクライマックスで歌われる名曲『Somewhere』と続け、本編ラストは近年に数多くの歌い手によってカバーもされてきた『いのちの歌』を、「今の時代に祈りも込めつつ」と前置きして響かせた。

世代を越えて親しまれる邦楽ポップスの名曲から、安直なボサノバ風にとどまらない本格的なブラジリアン志向、宝塚歌劇団の出身ならではといえる名作ミュージカル曲における表現力の豊かさとパフォーマーとしての凄み、そして今の世のなかに寄り添うメッセージ・ソングまで。ミニマムな編成ながら起伏に富んだ演奏と多彩な曲の並びによって、歌い手としての現在の到達点を巧みに表現し切った。

アンコールでは、2018年に発表したアルバム『う・た・が・た・り』で自らが作詞/作曲を手がけたオリジナル曲『子どものように』を取り上げ、シンガーソングライターとしての才までもラストにしっかり示した純名は、今年12月11日に大阪「中央公会堂」でコンサートをおこなうことがすでに決定している。笹子とのデュオで新境地を切り開き始めてから10年目を迎え、新たな飛躍を予感させる彼女に今後も注目したい。

取材・文/吉本秀純

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