パリが舞台の復讐劇「冬霞の巴里」、花組・永久輝せあが主演

はかなげな憂いと燃えるような狂気を秘めた、永久輝せあ演じるオクターヴ
宝塚歌劇団花組男役スターの永久輝(とわき)せあが、「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で初主演を飾る舞台『冬霞の巴里』が、3月25日に開幕した。
デビュー作『龍の宮物語』で作劇の巧さが光った演出家・指田珠子(さしだしゅこ)が、ギリシア悲劇「オレステイア三部作」をモチーフに書き下ろした新作。ベル・エポックの華やかさの陰で、汚職や貧困がはびこる19世紀末のパリを描いており、新聞記者のオクターヴ(永久輝)と姉のアンブル(星空美咲)は、父の死に関わった人物に復讐を果たすため、この街に帰ってくる。
2人が世話になる下町の下宿人たちは、まるでゴーストのようなメイク。さらに白塗りで異様な衣裳をまとった「復讐の女神=エリーニュス」や、父オーギュスト(和海しょう)の亡霊が舞台上にうごめき、ダークな世界観を押し広げる。
そんななか、パリの暗闇を引き裂くようにピンスポットのなか浮かび上がる永久輝の眼光の鋭さ、美しさにはハッとさせられるだろう。幼き日の父との温かい記憶をたどりながら、復讐を果たそうとするオクターヴ。永久輝は理知的に事を進めるというより、母性本能をくすぐる危なげな少年性を感じさせる造形で、姉への揺らぐ想いも目線や声色にまで繊細に表す。

弟と運命共同体のようなアンブルを演じた星空は、入団4年目ながら、凶暴性を増していく弟をしっかりと包み込む強さを見せた。また、聖乃あすかは、白い貴公子的なイメージを払拭し、下宿に住む謎の男・ヴァランタンを見事に演じ切った。
そして、オクターヴたちと対照的な幸せカップル、ミッシェル役の希波(きなみ)らいと、エルミーヌ役の愛蘭(あいら)みこ。オクターヴの母クロエ役で初の女役とは思えないナチュラルな演技を見せた紫門(しもん)ゆりや、警視総監の威厳も感じさせた叔父のギョーム役・飛龍つかさ、それぞれが物語の光と陰を的確に表現した。
クライマックスでのパリの夜の闇に吸い込まれるような緊迫のシーン。張り詰めた静寂の後、深い台詞を思わずかみしめる。最後に垣間見える希望には、不思議な余韻を感じることだろう。
同作は「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」で4月2日まで上演後、4月8日~14日まで東京公演がおこなわれる。なお、4月2日16時公演にて全編ライブ配信を実施。詳細は公式サイトへ。
取材・文・写真/小野寺亜紀
宝塚歌劇花組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演 Fantasmagorie『冬霞(ふゆがすみ)の巴里』
日程:2022年3月25日(金)~4月2日(土)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:全席指定8000円
電話:06-6377-3888(梅田芸術劇場)
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