２０～３０代の若手歌舞伎俳優たちが、２作品をダブルキャストで上演する『三月花形歌舞伎』。同作に出演する坂東巳之助、中村壱太郎、中村米吉、中村隼人、中村橋之助の５人が１月２８日、リモート会見を実施。全員がほぼ同世代ということもあり、お互いの性格や抱いている気持ちについて、本音が飛び交うシーンがあった。

怪談話を男女の純愛話に昇華した作品『番町皿屋敷』で、播磨・お菊のカップルを隼人＆壱太郎、橋之助＆米吉というペアで演じる今回。「役柄に自分との共通点はあるか」という質問に、米吉が「播磨と橋之助は似ている」と持論を展開した。

「まっすぐで結構思い詰めるところが似ている。それと、自分が思っていることは口にしなくても伝わると思ってる（笑）。播磨がちゃんと（お菊に）『お前しかいない』と言えば、あんなことにはならないのに」と厳しめの意見を言うと、橋之助も「ああ、『めっちゃ思っていれば（相手に）伝わる』って、確かに思ってますね」と苦笑した。

一方で壱太郎は、相手役の隼人に対して「『一生に一度の男』という台詞があるけど、隼人君ならいいなと思った（笑）。この思いを大事にして演じたい」と告白すると、隼人も「僕も『この人なら愛せるな』と思ったし、すごくうれしい」と相思相愛ぶりを見せつつも、「我々が（恋人役で）組むと、かなわぬ恋が多いんです（笑）。今回もかなわないですね･･･」と、残念がる場面も。

また、もう１つの上演作品『芋掘長者』で、今回演じる藤五郎について、「人格や性格じゃない所で、似てる部分がある」と役を分析した巳之助。「藤五郎と同じように、出たとこ勝負でやって、意外とうまく行くシチュエーションはありますね。『もうダメだ、やるしかねえ』って勢いでやる方が、いろいろ考えてからやるよりも、良かったなあと思ったりします」との言葉に、ほかのメンバーも「本当にその通り」など、納得の声を上げていた。

『三月花形歌舞伎』は、３月２日～１３日に「京都南座」（京都市東山区）で上演。料金は一等席１万１０００円ほか、チケットは２月６日から発売開始。

取材・文／吉永美和子