10−FEET・TAKUMAがソロで制作、映画曲に込めた想い

卓真としてシングル配信をおこなった10-FEETのボーカル/ギター・TAKUMA
■「みんな、もっと余計なお世話したらいいのに」(卓真)
──映画で主人公一家の良き理解者である巌(赤井英和)のことを、卓真さんは「あんな友だちが居たらいいなと思います」とコメントされています。でも、10-FEETのライブを観ていると、むしろ卓真さんが巌に近い人物なのではと感じますが。
僕はあんなに無骨で男らしい人間じゃないですけどね。例えば、仲間がバンドを辞めようとしているとき、僕は「バンドも本人も好きで、辞めてほしくない」って気持ちで引き止めますけど、結果は変わらないかもしれないし、本人たちにしか分からない事情もある。外野が首を突っ込むことではないかもしれないです。
でも「外野」って、野球でいうなら「客席」ほど他人ではないでしょ。黙っているだけなら誰でもできますけど、「あれは悔しかったよな」みたいな話をするだけで思い直せるかもしれないし。
──卓真さんご自身も、周囲から言葉をかけてもらった経験があるからこそ至った境地でしょうか。
「バンド辞める」云々じゃなくても、似た状況になったことはあります。そのときは、僕も友だちから電話をもらっても応えられなかったりして。
精神的に状態がよくないときって、周囲は気遣いから「なるべくそっとしておこう」となることが多くないですか? 「どうせ電話しても出ないやろ、重荷になるんちゃうか」とかね。でも、そういうときにかけられた言葉は、心のなかにすごく残る。

──そのときは向き合えなくても、後になってかけてもらった言葉が響くこともありますよね。
そうですね。それに、いくら仲間からの言葉でも、本当に決断をした場合は揺らがないと思うんです。それでも辞めなかったのは、心の底にまだ「やりたい」という気持ちもあったわけだろうし。「人生」という物語において、巌みたいな存在がいなかったら、チャプターが1章減ると思うんですよ。だからみんな、もっと「余計なお世話」をしたら良いのになって思いますけどね。
──なるほど。
映画でも似た描写がありますけど、最後に何かを決めるのは結局、その人自身で。本人が立ち直らないとどうにもならないこともあります。それは分かったうえで、お互いに好き合っている関係なら、何かしら口出ししてもいんじゃないかと僕は思います。
■ 映画『軍艦少年』はしんどい状況の人にも刺さる作品(卓真)
──同じくリリース時のコメントに、「過去の後悔を乗り越える力は、後悔が生み出す」とあります。こちらも、卓真さんご自身の経験から出た言葉なのでしょうか。
そう感じた経験は、これまで何度もありました。沈むこともあれば、ネガティブだった状態から前向きなものに持っていけたこともある。人って、うまくいってるときは自分の気持ちの持ちようを改めて学んだり、基本的な部分を見返したりしませんよね。
──やはり、音楽活動を通してのことですか?
それもありますし、家族や過去の恋路とか、仲間とか、すべてです。ミスや過ちがなくても、ネガティブな事柄を事前に想像しながら学べる人はいます。でも僕は、そういうタイプじゃなくてパッパラパーな人間で。だからずっこけながらかさぶたを作って、皮膚を分厚くして生きてくしかないと思ってます。
──卓真さんの人生観をうかがうと、歌詞に登場する「見つからないモノを探して」というフレーズがより印象的です。この少しほろ苦いフレーズには、どのような意味が込められているのでしょうか。
人って、何かを失ったらそれとまったく同じものが欲しくなるもの。でも、現実はそんなわけにもいかないですよね。それなら、似たものでもいいからそれをぶら下げて、元気でいて欲しいっていう思いがあって。
二度と戻らないものを望んでいるときって、一般的にいえばネガティブな状態です。でも、少なくとも無感情ではないはず。そんな思いをせめて歌にして、つらい現状を酒のあてにして。1日をなんとか楽しくやってけたら、みんなもそうであったらいいなって思います。

──今作では、登場人物が苦しみから再生しようともがく姿が描かれています。そこで『軍艦少年』が流れるタイミングがまた、絶妙ですよね。
いいタイミングで曲を使ってもらって、僕もうれしかったです。ネガティブなときって、どうしても性格がひん曲がってしまって。そんなとき、完璧な人から「ポジティブに!強く!」と言われても、響かないし。そういうときは、自分と似た状況の人に「無理やんな、しんどいよな」とか言われた方が頑張れたりしません?
きっと、自分にとって「いい状態」を保っていた方が、ハッピーやラッキーが舞い込むやろうから。誰かにとって、そうなれるような曲になってたらいいですね。
──最後に、卓真さんから見て映画『軍艦少年』はどのような人に観てほしい作品だと思いますか?
楽曲って、いくら美しい詞であっても歌詞を必要としない人には届きません。そういう人に届けるには、リズムやメロディー、曲自体がよくないといけない。
そういう意味では映画『軍艦少年』は、出演者のカッコよさや殺陣の迫力とか、普段は見られないエリアの軍艦島とか・・・。いろんな人が楽しめる要素があるし、しんどい状況の人にも刺さる作品です。なにせ原作者の柳内くん自ら「原作越えしてる!」って太鼓判を押すほどなので。
◇
カップリング曲『アゲハ』も収録のデジタルシングル『軍艦少年』は11月24日リリース。映画『軍艦少年』は、12月10日より公開中。
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