淡路島・幻の玉ねぎ、可能性を信じて苦節10年で生食専用に
2021.9.26 13:15
(写真4枚)
スライスして「生」で食べるのを「一番」おすすめする淡路島産サラダ専用玉ねぎ「生一番」。淡路島の玄関口「淡路ハイウェイオアシス」(兵庫県淡路市)が昨年販売を始めたところ瞬く間に完売したこの玉ねぎが、今年は生産量を増やして販売中だ。
淡路島の玉ねぎというと、肉厚でやわらかく、甘みの際立つブランド野菜。生で食べておいしいのは春に出回る極早生・早生という種類の新玉で、夏から冬にかけて店頭に並ぶ茶色い玉ねぎは中生や晩生といい、貯蔵が効いて辛味は強いが煮込みに最適だという。
「淡路ハイウェイオアシス物産館」の岩鼻優介店長は、「玉ねぎとひと口に言っても、品種ごとにおいしい食べ方がある。島では当たり前のことですが、全国的には知られていない」と明かす。
一方で、「本来のおいしさが伝わらない悔しさがあった。長期保存ができ、夏から冬まで生で食べられる玉ねぎがあったら・・・」、岩鼻店長がそう考えていたときに出会ったのが、南あわじ市の玉ねぎ農家・原田慎大さんだ。
約10年前、中生ながら生食向きとして登場した品種「七宝甘70」が淡路島の農家で流行したが、病気になりやすく栽培と管理の難しさから衰退。そんな状況下、原田さんはこの品種の可能性を信じて研究を続け、独自の農法を確立させていた。
今や全国的に見ても生産する農家が少なく、市場ではほぼ皆無という「七宝甘70」。原田さんが生産を可能にした幻の品種の玉ねぎに、岩鼻さんはサラダ専用「生一番」と命名した。
昨年は飛ぶように売れた同玉ねぎ。2年目を迎える今年は10月分まで販売数を確保しているという。1.5kg入り680円。
取材・文/みやけなお
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