怖いものほど見てみたい? 芸術×恐怖…横尾作品が一堂に 

2021.9.16 07:15

《恐怖の愛》 1994年 横尾忠則現代美術館蔵

(写真6枚)

美術家・横尾忠則の作品を収蔵する「横尾忠則現代美術館」(神戸市灘区)で、9月18日より『横尾忠則 恐怖の館』が開催される。横尾作品に通底する「芸術」と「恐怖」の関係性を、約80作品で考察する展覧会だ。

横尾は一貫して、目に見えないものや科学で説明できないものに関心を寄せてきた。そして彼の作品には、常に「死」や「恐怖」の要素が含まれている。本展ではそれらを「乱歩迷宮」「葬列」「あの世とこの世」「闇について」の4章で掘り下げる。特に注目すべきは冒頭とラストだ。

冒頭の「乱歩迷宮」では、横尾が1968年に手掛けた講談社版『江戸川乱歩全集』の挿絵が登場する。前近代的な闇や猟奇性を漂わせた乱歩文学の世界を、シャープな線描とあざやかな色遣いで表現した力作だが、本展ではそれらをウォークスルーのお化け屋敷をイメージしたインスタレーションに仕立てるのだ。

またラストの「闇について」では、『黒いY字路1』や『霊骨』など闇をテーマにした作品を、廃墟のように演出した空間に展示する。終末感が漂うエンディングは異色だが、「再生」を予感させる逆説的メッセージとも言えるだろう。

見世物小屋めいた展覧会名が振るっているが、根源的なテーマを扱いながら、どこか怪しさが感じられるセンスは、まさに横尾忠則の真骨頂だ。一般700円ほか。

文/小吹隆文(美術ライター)

『横尾忠則 恐怖の館』

日程:9月18日(土)~2022年2月27日(日) 月休(ただし月が祝の場合は開館、翌平日休館)、年末年始(12/31~1/1)休
時間:10:00~18:00 ※入場は閉館30分前まで
会場:横尾忠則現代美術館(神戸市灘区原田通3-8-30)
料金:一般700円、大学生550円、70歳以上350円、高校生以下無料
TEL:078-855-5607(総合案内)

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