濱口竜介監督「見せたいのは言葉ではなく、身体そのもの」

映画『ドライブ・マイ・カー』でメガホンを取った濱口竜介監督
「すべてのスタッフがいい仕事をしてくれました」(濱口竜介監督)
──協会の決まりで家福の臨時運転手をつとめる若い女性ドライバーのみさきを演じた三浦透子さんも存在感がありました。
三浦さんはほかの映画のオーディションで会って、そのとき「あ、ここにみさきがいた」と感じたんです。彼女は本当に聡明で、20代前半でこれほどの人はいない。その聡明さは人生をちゃんと考えたことのある人のもので、透徹した眼差しを持っている。それはみさきというキャラクターにもすごく近いものでした。

──みさきの過去も原作よりずっと膨らんでいて見応えがありました。
これもけっこう自然発生的に出てきた背景でした。元はサブ・テキストと呼んでいる、キャラクターの来歴ですね。これは『ハッピーアワー』(2015年)のときからやってることなのですが、キャラクターに架空のインタビューをおこなってキャラクターに喋らせるんです。そのときにこのキャラクターはどういう過去を持っていればこうなるのか考えるわけです。すると、みさきの人間性は、やはり生半可なものではないので、あの背景がでてきて、そのまま取り込んだ形でした。
──あと、ぼくら映画ファンにとって、ここでこの人を使うなんて濱口監督はわかっているなあと感心したのが(笑)、演劇祭のスタッフを演じている安部聡子さんでした。
市川準監督の作品や、舞台などで拝見していて、この人が普通の役をやったらどうなるんだろうってずっと興味があったんです。今回の現場でも、いい意味での圧倒的な「異物感」がありました。周りの人間たちと関わり合うんだけど、絶対に流されない。安部さんはどうすごいのか言語化しにくいんですけど・・・現場で見ていても、すごかったです。
──主要な役柄では、岡田将生さんも霧島れいかさんも印象的で、ここでの演技はおふたりのキャリアでもベストといっていいような気がしました。
今回は、日本人に限らず全キャストに言えることなのですが、俳優さんそれぞれのキャリアにとって重要な瞬間に、ちょうどこの映画の役が巡り会った、という手応えがあったんです。この役を演じることが自分にとって重要なことなんだと俳優さんに感じてもらえたら、あとは演じやすいように場を整えるだけ。今回はそれがうまくいった。これからもキャスティングは常にこうありたいと思っています。
──最後に、物語の重要なアイテムである家福の愛車が、原作は黄色のサーブ900コンバーチブルですが、映画では赤のサンルーフに変わっていますね。
色を変えたのは日本の風景のなかで、車を映えさせるためでした。カメラマンの四宮秀俊さんがいい仕事をしてくれています。また、コンバーチブルからサンルーフに変えたのは車内での録音の問題があったためですが、これも録音の伊豆田廉明さんが、ミキサーさんも驚くような仕事をしてくれて、テープで流れる声以外は、ほとんどアフレコなしで仕上げました。本当にすべてのスタッフがいい仕事をしてくれました。
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