細田守監督「美というものが現代にアップデートされたら」

2021.8.29 20:15

インタビューに応える細田守監督

(写真9枚)

現在大ヒット公開中の細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』ディズニー作品で知られるデザイナーやアニメーションに精通した海外スタッフ、音楽界の才女・中村佳穂をはじめとしたキャスティングのほか、『美女と野獣』のオマージュと言われる同作品について、細田監督に話を訊いた。

取材・文/ミルクマン斉藤

「世界の多様さを表現することが、インターネットを表現することに繋がる」

──今回はとりわけスタッフが国際色豊かですよね。アイルランドの映画監督、トム・ムーアが設立したアニメーション・スタジオ「カートゥーン・サルーン」のメンバーも参加してますが、どのパートなんですか?

ベルが竜の城に行く前の、グラフィカルな森や滝などをお願いしました。トム・ムーア監督作品のグラフィックはすごくて。

※編集部注/トム・ムーア:アイルランドのアニメーション監督 『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』で『第87回 アカデミー長編アニメ映画賞』にノミネートされるなど、世界的に活躍している

ベルが竜の城に行くまでに迷い込む道 (C)2021 スタジオ地図

──あのシーンですか。記号的、図像的でね。アイルランド、ケルトの伝統の延長線上にありますね。

かつては日本のアニメーション界にもああいう抽象的な美術で表現する作品ががあったんですけど、今は失われてしまったんです。今はリアル一辺倒になってしまって。対象を抽象化して描く人がいなくなっちゃった。そんなことをトム・ムーアに言って。

──それこそ文化混交ですよね。「カートゥーン・サルーン」はある意味、民族主義的ですし。

トム・ムーア監督の『ウルフウォーカー』(2020年)はまさにそんな映画。僕の『おおかみこどもの雨と雪』とおおかみつながりで対談させてもらったとき、アイルランドや日本でもっと新しい観客に向けて映画を作っていく使命があると思うから、お互い協力し合おうと説得したんです。

──その対談は僕もネットで見ました。

作品はもちろん知ってたけど、実は考え方も状況もすごく近かった。「アニメーションをインディペンデントで、いかにメジャースタジオ発以外のものを打ち立てていくかってことの大事さ」を言いながら、トム・ムーアにベルのキャラを見せると、「なんだ、グレン・キーン(1980年代以降のディズニーを代表するアニメーター)風ですね」って(笑)。いやいや、ジン・キムさんだよ、「でも、ハリウッドじゃないか(ジン・キムは『アナと雪の女王』などディズニーの仕事で有名)」と言いつつも、トム・ムーアはやってくれて。

──そこが面白いですよね。ディズニーの仕事で有名なジン・キムと、ケルティックなトム・ムーアが1本の作品のなかで協働してるってのが、メチャクチャなんだけどユニーク極まる。

世界の多様性を表現するっていうのが、つまりインターネットのなかでさまざまな人が集ってるという場を表現することに繋がるんじゃないかな、という感じですね。

映画『竜とそばかす姫』

監督:細田守
声の出演:中村佳穂、成田凌、玉城ティナ、染谷将太、幾田りら ほか
配給:東宝

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