宮本浩次の55歳記念ライブを放送、ひとつの到達点を目撃

2021.7.24 19:15

宮本浩次

(写真1枚)

シンガーソングライター・宮本浩次が55歳の誕生日に開催したバースデーライブ『宮本浩次縦横無尽』の模様が、8月8日にWOWOWで放送・配信される。

1988年、エレファントカシマシのボーカリストとしてデビューした宮本。王道をゆくストレートなロックンロールサウンドと唯一無二のライブパフォーマンスによって、カルト的人気を集めてきた。

1994年にはセールス不振によりレコード会社から契約を打ち切られメジャーを離れるが、1996年の再デビュー後は『悲しみの果て』『戦う男』『今宵の月のように』『風に吹かれて』『ガストロンジャー』といったヒット曲を連発。多くのタイアップ曲を抱える人気バンドへと上り詰めたのは、周知の通りだ。

そんな宮本がソロ活動に着手したのが2018年。50歳という人生の新たなステージに向け、アマチュア時代も含めて40年以上も活動をともにしてきたバンドとあえて距離を置き、自身の内的衝動と改めて向き合った。そして生まれたのが、椎名林檎とのコラボレーション『獣ゆく細道』や『冬の花』といった楽曲群。

まだ見ぬ風景や物語を鮮やかに喚起させる、劇的な情念を宿したドラマチックな歌世界。それは宮本が幼少期に夢中になった、かつての演歌や歌謡曲、そしてNHK東京児童合唱団自身で歌っていた自身の原点と繋がるもので、彼はそのなかでロックという枠組みを取っ払った、真っさらな姿で歌と向き合い、無心に歌いあげる。

ライブ活動が制限されたコロナ禍には、テレビの歌謡番組への露出も増えたが、そんな紛うことなき「歌手」としての彼の姿に、心をわし掴みにされた人は少なくないだろう。持ち前の無骨かつチャーミングなキャラクターで場を沸かせつつ、いったん歌い出すと放送事故ギリギリの鬼気迫る歌唱で、場の空気を一変させてしまう。そんな異質さ、表現者としての求心力こそ、宮本浩次の魅力であり、どれだけメジャーになろうとも彼が決して消費されない理由なのだ。

今回放送されるのは、宮本にとって3回目のバースデーライブ。過去の2回はいずれもギター弾き語りだったが、この日はオリコンのウィークリーチャート1位のヒットとなった女性シンガーのカバーアルバム『ROMANCE』のプロデューサーを務めた小林武史を中心に、宮本のソロ活動を支える気心の知れたメンバーによるバンド編成によるものとなる。

『宮本浩次縦横無尽』という公演タイトルが示すように、ソロ楽曲から『ROMANCE』収録の女性ポップスカバー、そしてエレファントカシマシの楽曲まで、あらゆる角度から宮本浩次のパーソナリティが堪能できる集大成的ライブ。宮本ファンもそうでない人も、「歌うこと」のひとつの到達点を目撃できるはずだ。放送・配信は8月8日・夕方3時半からWOWOWライブ・WOWOWオンデマンドにて(放送終了翌日から2週間アーカイブ配信あり)。

文/井口啓子 

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