坂東玉三郎、中止公演乗り越え喜び「京都にいられて幸せ」

2021.7.14 06:45

オンライン会見に出席した、5代目坂東玉三郎 撮影:柏原孝史

(写真3枚)

人間国宝にも認定された、歌舞伎界を代表する名女形・5代目坂東玉三郎。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となった「南座」(京都市東山区)での特別舞踊公演が2年ぶりに実施されることとなり、そのオンライン会見が、7月12日におこなわれた。

ライブ配信が盛んになった今も、生の舞台を見せることにこだわり、自らを「実演家」と言い切る玉三郎。「古い考えかもしれないけど、リモートで自分の芝居をお見せできるとは思えないし、実演で観ていただくことが、一番モチベーションが上がりますので」と、その想いを語る。

さらに「(東京の)『歌舞伎座』は2020年8月から、公演が1日中止になったぐらいで大きな打撃もなく、それは非常に稀有なことだと思います。実演が続く限りは、あくまでも実演家として生きていきたいし、こんな状況でもご来場くださったお客さまに、夢の時間を過ごしていただけるよう、精一杯努めていきます」と意気込みを見せた。

7月24日〜28日は、地唄舞が中心の単独公演。8月2日〜24日は、中村芝翫の3人の息子(橋之助・福之助・歌之助)と新派の人気俳優・河合雪之丞と組み、祝祭と娯楽要素の高い2作品を上演する。

「『南座』は歌舞伎の大きさに非常に向いていて、演技をオーバーにしなくても、繊細なところがすごく伝わる劇場です。『鶴亀』の女帝の冠などは京都で作ってもらっていて、『雪』の衣装にはずっと丹後ちりめんを使用しています。歌舞伎を支えるいろんな物が、京都の技術で作られていて、改めて特別な場所だと感じます」と、「南座」と京都への思いを明かした。

と同時に、「この時期に東京ではなく、京都にいられるのは幸せ」という、やや意味深な発言も。

「昨年もこの時期に、京都にいようと思いました。五輪にいらっしゃった方が、五輪以外のものを見ようと各地に脚を伸ばされるとしたら、私が京都にいるのもいいんじゃないか? と思いまして。ちょうど開会式の前の日に京都入りして、終わってから帰るという・・・その心境はご想像にお任せいたします」と笑いながら答えていた。

『坂東玉三郎 特別舞踊公演』は、両公演とも一等1万6000円ほか、チケットは現在発売中。

取材・文/吉永美和子

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