逆境のなかで生まれた、神戸の映画館が「朝活」に力を入れるワケ

2021.6.14 07:15

「コロナ以前も『朝パル』『お話会』はできたはずですが、気持ちのどこかに余裕があったのか、そういう発想がありませんでしたから」と語る小山岳志支配人(13日撮影)

(写真5枚)

過去の名作を厳選して上映する名画座「パルシネマしんこうえん」(神戸市兵庫区)が、「朝活」に力をいれている。朝の上映前にトークショーをおこなったり、レイトショー割引ならぬ朝の特別価格を設けたり・・・どんな内容で、どんな理由でおこなっているのだろうか。

朝8時50分開演で約40分にわたっておこなわれる『朝イチバンのお話し会』。4月からはじまった同企画は同劇場の小山岳志支配人とゲストのトークを無料で楽しめ、その特徴はイベントタイトル通り「朝が早い」ということだ。

6月13日の回では朝8時50分開演にも関わらず、30名近い観客があつまった。小山支岳志配人によると「平日開催時も毎回15名前後はお越しいただけます」と曜日問わず好評だという。

同日は、映画監督の松本大樹さんが登壇。スタッフと観客とが「おはようございます」と控えめではあるが互いの挨拶からスタート。トークでは松本監督の新作『極道系Vtuber達磨 〜仁義ある生配信〜』の撮影裏話を中心に、1作目『みぽりん』(2019年)では制作費がかさんで借金を抱えてしまったことを明かすなど、朝からディープな内容に。

観客からの質疑応答の時間もあり、「映画作りで大切にしていること」を問われ、「自分の作品にはコメディ要素を入れたい。『パルシネマ』で鑑賞した『リトル・ミス・サンシャイン』(2006年)のような明るい映画が好き」と答えるなど親睦を深めた。

そして、通常は2本立てで一般1300円のところ、時間的にも気軽に楽しめるようにと、朝9時からオススメ映画を1本立て1000円で鑑賞できる「朝パル」も5月からスタート。映画ファンからは、どの名作が上映されるのかと注目を集め、SNSでは「作品につられて行きます」という声も。

では、なぜそこまで「朝活」に力を入れるのか。小山支配人は、「新型コロナの影響でお客さんがガクンと減りました。『劇場を助けてほしい』という気持ちではなく、そんな状況だからこそお客さまとコミュニケーションを取れる機会を作り、映画館を身近に感じてもらいたいと思ったんです」と語る。

「もしコロナがなければ平穏な映画館生活が送れていたと思います」と本音をのぞかせた小山支配人。だが、「こうなった以上、いつまでも『厳しい』と言っていられない。『このままではアカン、本当にダメになってしまう』と意を決しました。時短営業だから夜は難しいけど、朝なら枠が作れる。逆境のなかで生まれた企画です。おかげさまで劇場として上映作の幅が広がり、お客さんからも『楽しかった』という声をいただけております」と、状況を前向きにとらえ、コロナが収束しても「朝活」を続けたいそうだ。

次回の『朝イチバンのお話し会』は16日の朝8時50分開演。その後は夏以降の開催を予定している。また「朝パル」は定期的に実施し、最新情報は公式サイトとSNSで告知。場所は地下鉄湊川公園駅、神戸電鉄湊川駅から徒歩約2分。阪急・阪神・山陽新開地駅から徒歩約5分。

取材・文・写真/田辺ユウキ

「パルシネマしんこうえん」

住所:兵庫県神戸市兵庫区新開地1-4-3
電話:078−875−7879

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