「すっぴんの美術館」って? 大阪で斬新すぎる企画展

2021.6.29 07:15

敢えて作品展示がされていない大阪市立美術館の「彫刻室(第五陳列室)」。6種類に分類されるという、大型展示ケースが16個並ぶ

(写真7枚)

展覧会では脇役となる展示ケースと展示室。そもそも作品鑑賞に集中するため、会場全体が暗いこともある。そんななかで壁や天井をじっくり見たことがあるだろうか? 「大阪市立美術館」(大阪市天王寺区)による「展示室」自体を展示する企画展が6月22日からスタートした。

昭和11年に開館し、戦前の貴重な大型建築として国の登録有形文化財に登録されている同館。来年度から大規模な改修が予定されていることから、学芸員の児島大輔さんは「展示室を隅々まで見る機会はなかなかない。これまでの展覧会での記憶など、改修前に長い歴史に思いをはせてもらえれば」と、企画意図について話す。

また、以前にも展示室を公開したことがあったそうで、人がいない瞬間を待ち、室内のみを熱心に撮影する姿を多く見かけたこともきっかけに。美術館側にとっては言わば客に見せない什器であるが、「器にどんな料理を盛り付けるか考えるように、見る方が展覧会前の学芸員の目になって、どこにどんな作品を飾りたいか想像するのも楽しいかもしれません」と児島さん。

第2展示室(第二陳列室)では、開館当初も展示室の中央に鎮座していたという「Fケース」のみを展示

今回の特集展示『美の殿堂の85年 大阪市立美術館の展示室』では、1階展示室の3部屋を公開。最初に足を踏み入れる「彫刻室」は戦後、連合国軍に接収された際にバスケットコートとして利用されていたという。開館当初から活躍してきた16個の大型展示ケースがずらりと並ぶが、中身はもちろん空。奥の2部屋では、展覧会に合わせ何度も色が塗り直された白い壁と、暗闇にひとつ浮かぶ展示ケースが主役だ。

これまで、数々の国宝や世界中の名品を彩ってきた展示室。改めて目を向けると、扉枠の表札は戦前の右横書きだったり、かつては自然光での採光が魅力だったという天井や壁面の窓の形跡が多く(現在は作品保全を重視)、静寂ながらも時代の流れを感じさせてくれる。

よく同館を訪れるという大阪市内在住の50代女性客は、「最初の部屋は天井がこんなに高かったんですね。2階みたいになっている部分もあるし、作品がないと体育館にも似てるなと不思議な空間に見えてきて。改修後も伝統的な部分は残してほしいです」と、展示室の新たな鑑賞法を楽しんでいた。展示室の写真撮影は可能で、期間は8月15日まで、月曜休み(8月9日は開館)。入館料は一般300円。

取材・文・写真/塩屋薫

『美の殿堂の85年 大阪市立美術館の展示室』

期間:2021年6月22日(火)~8月15日(日)※月曜休み、8/9は開館
場所:大阪市天王寺区茶臼山町1-82(天王寺公園内)
時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
料金:一般300円、高大生200円 ※中学生以下、障がい者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料(要証明)
電話:06-6771-4874

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