ドライバーの写真がプロ並み…MKタクシーが力を入れるワケ

2021.5.3 19:15

『伏見稲荷大社』(撮影・諸川ドライバー)

(写真12枚)

京都の美しい四季、愛らしいねこたち。「ドライバーさんは写真家なんでしょうか?」と言われるほど、プロ並みの写真が度々SNSで絶賛されるハートマークの「MKタクシー」(京都市南区)。京都の街を知り尽くしたプロ集団に、写真への取り組みや撮影のコツを訊いてみました。

■ SNS人気を生んだのは「社内フォトコンテスト」

約20年前から観光情報を兼ね、ドライバーからリアルタイムの開花・色づき状況の分かる写真を収集していたという同社。だが限られた人の協力しか得られなかったため、2017年春に『社内フォトコンテスト』を開催すると、職員からも多くの応募があり、恒例化することに。

今では年に2回、桜と紅葉の時期に開催し、コロナ禍前にはさらに、梅・初夏・夏祭りなど数回『ミニフォトコンテスト』も実施。集まった写真を積極的にツイッターで公開したところ、フォロワーが増える好循環が生まれたという。

担当者は「撮影者も多くの方に見てもらえるのがうれしく、自らもっと撮るようになったり、写真収集の輪が広がっていきました。観光タクシードライバーが京都を知り尽くしているのは事実ですし、写真が話題になることで『MKタクシー=京都観光のプロ』というイメージを補強できているのでは」と話す。

もちろん従業員全員が写真好きなわけではないが、コンテストには新卒からベテランまで60人以上が参加し、ツイッターにはそのなかから20人前後の写真が使われている。「今まで埋もれていた写真好きの人材も発掘できましたし、なぜか毎年、写真の上手な新卒が入ってくるのが不思議です(笑)」と担当者。

■ ドライバーは、開花情報を日々チェック

公式ツイッターで約170万回閲覧された滋賀県「鮎河の千本桜」を撮影したのは、ドライバー歴&写真歴4年の20代若手・諸川(もろかわ)諒さん。「車で走っていると、写真に残したい場面にたくさん出会います。その都度メモをとり、1番きれいだと思える時期・時間帯をイメージして、休みの日に撮りに行きますね」と言い、同僚とは互いの写真を共有し、何を意識して撮影したのか話し合うこともあるそう。

2021年「桜フォトコンテスト」特別賞『鮎河の千本桜』(撮影・諸川ドライバー)

撮影のコツについては、「実際に人が見ている風景より広い範囲で全体像をとらえると、迫力のある写真が撮れるのでは」と、ミラーレス一眼の広角レンズで撮影し、さらに「たとえば川は雨なら濁る可能性が高いので、翌日の撮影も避けます」と、天気も日々気にかけていると話す。

撮影を通して「新しい構図をお客さまにご案内できるので勉強になります」といい、京都やねこ写真を見た乗客から「観光色の濃いタクシー会社ですね」と楽しんでもらえたり、若年層に「ツイッターでMKに対するイメージが変わりました」と言われたことがうれしかったという。

2021年「桜フォトコンテスト」大賞『七条大橋』(撮影・観光ドライバー)

また、今年の『桜フォトコンテスト』で大賞に輝いた写真歴・約30年の観光ドライバーは、ミラーレス一眼、コンパクトデジカメ、スマホを使い分けて撮影。撮影のコツについては「タイミング7、フレーミング2、機材1の割合かな。仕事の合間など、時間や撮影できるポジションに限りがあるので、きれいと思ったらすぐ撮ることも」と話す。さらに、日頃から花に詳しいSNSのフォロワーや同僚とマメに情報交換をするこだわりも。

桜の時期が過ぎた京都だが、「紅葉の名所・東福寺は、青紅葉も実にきれい。夏にかけての新緑スポットとして癒やされると思います」(諸川さん)、「ツツジ、藤、シャガ、花菖蒲、紫陽花などこれからの方がいろいろな花が咲きますよ」(観光ドライバー)と、注目の風景が多々あるよう。おうち時間が増えるなか、今後も京都観光のプロらが発信する美風景が楽しみだ。

取材・文/塩屋薫

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