柳楽優弥「30代では、もう少し等身大の役を演じたい」

KENTARO監督の初の長編映画での主役に。道楽息子が、モンゴルで自然と人と向き合っていく。2021年も主演する映画『HOKUSAI』『太陽の子』が公開予定
「監督は、海外の人がどう感じるかということを常に意識している」
──さきほど英語によるコミュニケーションの話が出ましたが、今回現場でコミュニケーションをとるのに苦労したようなことはなかったですか。
なかったですね。逆に、今回の撮影でわかったのは、言葉が通じてコミュニケーションがとれるのはありがたいことなんだけど、それが絶対に必要かというとそうでもないなってことでした。なにしろ今回は、スタッフの間で飛び交う言語の数がすごかったですから。
──出身国がばらばらなんですよね。
カメラマンがオーストラリア人で録音技師がチリ人、スクリプターはフランス人、俳優がモンゴル人に日本人ですから、初めは頭が痛くなりました(笑)。
でも、そのうち慣れてくると、伝えたいことってなんとなく分かるんですよ、お互いに。伝えたい気持ちさえあればなんとかなるものだなって思いました。
──それは柳楽さんがモンゴルの人たちと接している場面を観ていて、僕らもそう思えました。荒野で狼と遭遇した後、助けてくれる女性との交流とか。
あの女性との交流は、主人公の青年が成長する大事なシーンですから、印象として残っているとうれしいですね。

──狼と遭遇するシーンも迫力がありました。
あそこはほんとに怖かったです。狼には一応リードが付けられてはいたのですが、リードが細いんですよ(笑)。そんなの狼が本気で引っ張ったらすぐに切れちゃうだろうっていうもので。あの距離で接すると、狼って怖いんだなって改めて知りました。
──次のシーンではサイドカーを燃やしますが、あれはほんとうに燃やしたのですか?
ほんとうです。劇中でしているように、僕がライターをタンクに投げ入れたのではなくて、スタッフが点火スイッチを入れて爆発させたんです。あのときも僕はサイドカーから少ししか離れていなかったので爆発の大きさに驚きました。
──モンゴルで映画を撮ることのスケールを感じました。KENTARO監督については以前から知っておられたのですか?
いえ、知りませんでした。僕が好きだった映画『キス・オブ・ザ・ドラゴン』や『ラッシュアワー3』などに俳優として出演しているというのを聞いていたぐらいで。
──一緒に仕事してみてどうでした?
監督は国際人ですね。日本語を話すフランス人だと、僕は思っていました(笑)。日本の監督とは観点が全然違うんです。日本の観客だけでなく、海外の人がこの映画を観たらどう感じるかということを常に意識している。
現場では「映画はセンスだ」ってよく言ってました。現場では即興演出も多くて、僕も即興が好きなのでそういうところも合っていましたね。
──さきほど、監督とも少しお話させてもらったのですが、ヌーヴェル・ヴァーグの作家や作品がお好きなようですね。
監督は日本映画でもフランス映画でもともかく詳しいんです。知識がすごくて、映画人としてのひきだしがとても多い。訊いたらなんでも教えてくれて、尊敬に値する人です。
だから、映画好きの人なら分かると思いますが、この作品にも世界中の過去の名作のエッセンスがたくさん散りばめられています。

──その点も先ほど確認させてもらいました(笑)。種明かしになるといけませんが、オーソン・ウェルズやジャック・タチですね。確かに採りこみ方にセンスを感じます。これからどういった作品に出演したいとか、どうお考えですか?
この作品で、監督と一緒に世界各地の映画祭に参加させてもらって、現地の人たちに映画を観てもらうということにすごく刺激を受けました。そこで自分が認められるのもうれしいのですが、それよりも監督やスタッフ、なにより作品そのものが認められるのがうれしいんです。
日本には才能豊かな若い監督たちがたくさんいるので、そういった人たちと組んで世界の映画祭に参加したいですね。役柄に関しては、20代のころはなんでもやってやろうという気持ちが強くて、その結果個性の強い役柄が多かったのですが、30代では、もう少し等身大の役を演じてみたいですね(笑)。それも、自分がこの役好きだなって思えるような、そんな役だとうれしいですね。
『ターコイズの空の下で』
監督・脚本・プロデューサー:KENTARO
出演:柳楽優弥、アムラ・バルジンヤム、麿赤児、ツェツゲ・ビャンバ、サラントゥーヤ・サンブ、サヘル・ローズ、ほか
配給:マジックアワー、マグネタイズ
(C)TURQUOISE SKY FILM PARTNERS/IFI PRODUCTION/KTRFILMS
関西の上映館:シネ・リーブル梅田、MOVIX堺、アップリンク京都、MOVIXあまがさき(3月12日〜)、シネ・リーブル神戸(4月9日〜)
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