柳楽優弥「30代では、もう少し等身大の役を演じたい」

KENTARO監督の初の長編映画での主役に。道楽息子が、モンゴルで自然と人と向き合っていく。2021年も主演する映画『HOKUSAI』『太陽の子』が公開予定
日本人離れしたスケールを感じさせる俳優・柳楽優弥が、アーティストとして活躍するKENTARO監督と組んだ主演作『ターコイズの空の下で』が公開中だ。同作は日本・モンゴル・フランスの合作で、世界中から俳優・スタッフが集い、モンゴルでの長期ロケが敢行された話題作。30代となり新たなステージに挑んだ柳楽優弥に話を訊いた。
取材・文/春岡勇二 写真/バンリ
「スマホに頼れないから、自分と向き合う時間が多かった」
──出演オファーはどういった経緯だったのでしょう?
先に脚本をいただいていたのですが、マネージャーさんから急に、「ひと月後にモンゴル・フランスとの合作でモンゴル・ロケに行きますか?」と訊かれて、海外との合作作品に興味があったので、タイミングが合ったなっていう気持ちで出演を決めました。
──撮影期間はどれぐらいだったのですか?
平原にあるゲルと呼ばれるモンゴル式の住居で寝泊まりしての撮影が3週間、あと首都のウランバートルで5日間でした。
──モンゴルに初めて着いたときはどんな様子だったのですか?
行くまでにモンゴルの情報が全然入ってこなくて、撮影の内容もまったく想像がつかなかったです。ウランバートルまでは日本から5、6時間のフライトで着くのですが、そこから撮影現場となるゲルのあるところまでは車で9時間ぐらいかかるんです。
飛行時間よりも時間がかかるのにまず衝撃を受けて。それから窓からの風景も街からどんどん砂漠になってきて、馬とかラクダがいて。しまいには運転手さんが道を間違えてスネちゃったりして(笑)、たどり着けるか心配でしたが、なんとか着いて安心しました。
──もう嫌になったとかはなかったですか(笑)。
大変でしたけど、嫌にはならなかったですね。普段スマホに頼りきっているところがあるじゃないですか。過多って言えるぐらいの情報に慣れてしまっているし。ところが今回の撮影地ではまず電波がないですから、スマホに頼れない。
でも、そのぶん自分で考えるから、自分と向き合う時間が多かった。それが日本を離れることの大事なところだと思うんです。情報も大切ですけど、それが一切手に入らない状況に身を置くのもいい経験になるなって考えていました。
──確かに、そういう経験は貴重ですよね。
いま考えてもいい経験だったと思います。僕が演じた主人公の青年も、日本で物質的な豊かさにどっぷりはまっていたのが、モンゴルでなにもない環境に置かれて、最初は戸惑うんだけど、やがて精神的な豊かさに気づいていく。撮影を通した僕自身の経験と重なっているので、すごく納得できました。

──人とのふれあいはどうでした?
モンゴルの人っておおらかでやさしくて、ほんとにどこに行ってもよくしてもらいました。今回の撮影がいい経験だったと言えるのは、そのことも大きいですよね。
共演のアムラ・バルジンヤムさんはモンゴルのスーパースターですから、「アムラが出ているのなら」って、現地の人がすごく協力してくれるんです。それもうれしかったですね。
──アムラ・バルジンヤムさんとの関係はどうだったのでしょう?
彼は知的で品があって、それでいて野性味もある方で、馬の乗り方や肉の食べ方まで教えてもらいました。彼はモンゴルのみならずハリウッドでも成功した初めてのモンゴル人俳優として知られているのですが、モンゴルの映画人養成学校は英語の語学研修がしっかりしていて、彼を始め、モンゴルの俳優さんはほとんど英語ができるんです。なので、コミュニケーションをとるのもそんなに大変じゃなかったです。
──そうなんですか。海外進出を目指す映画人を養成するという面では、日本の映画学校よりも優れているかもしれませんね。
そう思います。
──女優さんたちもみなきれいで、美人が多いなっていう印象を持ちました。
確かにきれいな人が多いです。中国とロシアに挟まれているので、東洋と西洋の美を兼ね備えている、芯が強く、その内にしなやかさを秘めている、そんな感じの人が多かったように思います。
『ターコイズの空の下で』
監督・脚本・プロデューサー:KENTARO
出演:柳楽優弥、アムラ・バルジンヤム、麿赤児、ツェツゲ・ビャンバ、サラントゥーヤ・サンブ、サヘル・ローズ、ほか
配給:マジックアワー、マグネタイズ
(C)TURQUOISE SKY FILM PARTNERS/IFI PRODUCTION/KTRFILMS
関西の上映館:シネ・リーブル梅田、MOVIX堺、アップリンク京都、MOVIXあまがさき(3月12日〜)、シネ・リーブル神戸(4月9日〜)
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