お客も店員もいない無人書店を作ったのは? 奈良から最先端ビジネス

2021.2.28 07:45

平田さんが開発した「タナミル」。5台のワイヤレスカメラを稼働し、店内の本棚を24時間リアルタイム配信。客が新たな本と出会う体験をオンライン化

(写真7枚)

日本初の無人キャッシュレス書店「ふうせんかずら」(奈良県奈良市)で、3月1日から店員も客もいない究極の無人化サービス「タナミル」が開始。そのあまりにも斬新なサービスに、スタート前から話題になっている。

「タナミル」は、5台のワイヤレスカメラを稼働し、店内の本棚を24時間リアルタイム配信するシステム。カメラは、人が実際に歩くスピードで棚の本を順に映し出し、詳細が画面下のテロップで紹介されるので、気になる商品をキープ後に購入する流れだ。これまでのネット通販とは異なり、実際に本屋を訪れたような感覚をオンラインで体験できる。

そんな驚きのアイデアを生み出したのが奈良在住で「有限会社ならがよい」代表の平田幸一さん。2015年に他人との接触が無いプライベート映画館「青丹座」も運営し、起業家・経営者としての顔だけでなく、「塔重五」のペンネームで漫画家としての顔や、企業研修講師の顔も持つ。

昨年の新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言に伴った自粛期間中に、いち早く「一般社団法人日本オンライン講師アカデミー」を立ち上げたほどの行動力の持ち主だ。

対面ができないという状況を逆手にとって、ビジネス成果につなげるシステムを構築し、現在では約100人の講師が登録するほど成長を遂げている。この奈良のアイデアマンの頭のなかが、いったいどうなっているのか知るべく、お話を伺った。

「オンラインや無人化は関係なく、人本来の仕事が増えるはず」

──2018年にオープンした「ふうせんかずら」(2020年12月に移転)、2019年にオープンした滋賀の2号店「セルフブックス」は無人書店というインパクトで驚きがありました。ただ、万引きや汚れの心配は実際のところどうなのでしょうか?

万引きは、一度もありません。抑止力としての24時間カメラはありますが、IDで個人情報を登録する必要があるので、入店者にセキュリティーをかけています。

2号店は、ショッピングモール内という、より不特定多数が利用する場所にあるので、さらに強化して、登録時に私宛に電話をかけないとIDが発行されません。目的があって、わざわざ来店してくれる方々は、個人情報を提供してまで、盗むという発想を持っていないと思います。

また、奈良の1号店は、棚音文庫を中心に8人のブックオーナーがセレクトした本を扱っていますが、このシステムを危ないと思っている人はまずブックオーナーになりません。

ちなみにこの8枠の応募に全国から50件の応募がありました。みんな、この仕組みを理解した上で、万が一本が汚れたとしても、みんなに読んで欲しいという思いの方が強いのです。

起業家、経営者だけでなく、コンセプチュアル系の企業研修講師、漫画家の顔も持つ平田さん

──究極の無人化は書店員がいらないので、今後、雇用がなくなるのでは、減るのでは?という懸念を持った人も多いようですが・・・。

仕事には『モノの仕事』と『ヒトの仕事』があって、『モノの仕事』は、マニュアル通りに決められたことをするだけなので、設備や装置に置き換えられます。

もちろん精度は必要ですが、同じ能力があるなら、新しい方が長く使えるのでそちらを残そうとする。だから、オンラインや無人化は関係なく、誰かと比べられている限り、年齢とともに雇用は減る方向にあると思います。

僕としては、『ヒトの仕事』ができる人が増えなければならないと思っています。『ヒトの仕事』とは、世のなかにある何か困りごとを知恵や工夫でほんのちょっと変えること、知らないことを仕事のなかで試みること。そんな人はモノ扱いされないです。何かを考えて周りを動かせる人が活躍するビジネスが今後増えていくと考えています。

──なるほど、今回はじめられた斬新な「タナミル」や「オンライン講師アカデミー」は、もともと考えられていたアイデアなのですか?

いえ、やはりコロナ禍がきっかけです。教育業界が通信やeラーニングに切り替え、大学がオンライン授業を取り入れ始めていたので、企業側の研修もオンラインにいずれはシフトするだろうなとは思っていました。

昨年の4月~6月、リアルな対面で仕事をしている私を含めた知人の講師達もみんな、仕事が一気にキャンセルになったので、いつか元に戻るだろうという悠長な思いは捨てて、この際、リアルとは全く違うオンラインを使ったコンテンツとして追求しようと思ったのです。

──「タナミル」はどういった思いから生まれたのでしょうか?

「オンライン講師アカデミー」でさまざまな試みをおこなうなか、オンラインのニーズを実感しました。

それで、旧来の情報発信をおこなう本屋(ふうせんかずら)と新たな情報発信ツールであるオンラインを組み合わせて、奈良から何か発信できないか考えました。店側からどれだけ情報を出せるかやってみようと。

「Naramachi BookSpace」

2020年12月10日(木)移転
住所:奈良市東城戸町32-1
営業:7:30〜22:00 年中無休(臨時休業あり)

「ならまちシアター 青丹座」
住所:奈良市下御門町4番地 eリュエル2F
営業:9:00〜22:30

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