朝ドラのモデル「松竹新喜劇の源流は演劇」寛美の孫・扇治郎

祖父の喜劇役者・藤山寛美らが立ち上げた「松竹新喜劇」であっけらかんとした明るさを武器に、笑いと人情にあふれた世界を支えている俳優・藤山扇治郎
「松竹新喜劇の源流は演劇」(扇治郎)
──扇治郎さんは新喜劇に入る前に、歌舞伎から地元の小劇場劇団まで、さまざまなスタイルの演劇をこなしてらっしゃいましたが、新喜劇特有の難しさがあるんでしょうか?
まず、笑いって難しいんですよ。人が「悲しい」と思うことって、何年経ってもあまり変わらないと思うんです。誰かが亡くなるとか、つらい目に遭うとか。でも笑いは、時代によって変わっていくものじゃないですか?
──確かにお笑いを観ていても、笑いのスタイルの新陳代謝って、すごく激しいですし。
だから新喜劇の作品も、泣く部分はあまり昔から変わらないけど、笑う部分は変わっていくんです。そこが難しい。でも松竹新喜劇は「泣き笑い」の人情喜劇ですから、笑って共感していただけないと、喜劇にならないんですよ。昭和の時代には笑ってもらえても、今の時代に笑ってもらえるか? 僕の祖父も、多分(1990年に)亡くなる前には、ずっとそれを考えていたと思います。

──一見新喜劇とは異質な久本さんをゲストに呼んだり、『二階の奥さん』に京都の新鋭演出家・村角太洋(THE ROB CARLTON)さんを抜擢するなど、積極的に外部の血を入れているのは、そのためでしょうか?
そうですね。劇団の外にいる方って、やっぱり劇団員と感じ方が違うはずですから。久本さんと一緒にやると「あ、こういう感じもアリだな」という発見が多くて、それってすごく大事だと思いますね。どんどんこれからもいろんな方に出ていただきたいし、「新喜劇に出たい」って言ってくださる方が増えたら、最高だと思います。
──新喜劇の膨大なレパートリーは、ほとんど昭和時代に作られたものですが、そういう思い切ったコラボを通して、どんどんブラッシュアップされることになりそうですね。
でも新喜劇の脚本で大事なのは、「人と人とが支えあって、助け合って、世のなかを明るくしよう」という、普遍的なテーマが入ってることなんです。人が集団社会を生きていくなかで抱えるいろんな問題や悩みを、新喜劇では見せていく。

それに大真面目に取り組む姿が、はたから見たら笑えたりするけども、その解決法みたいなものも、ちゃんと描いてるんです。その根本は、どんな時代になってもずっと変わらないと思います。
──「こんなに面白い、角(かど)の立たない対処法がありますよ」みたいな。それは昭和より人間関係が複雑になっている令和の方が、むしろ求められることかもしれないです。
だからお芝居を観て「あ、うちの家もややこしいけどがんばろう」とか「しんどいけど、明日から会社がんばろう」とか思ってもらえたらすごく嬉しいし、それが役者の大切な仕事やと思うんです。

夢というか、目に見えないものを売っている・・・人の気持ちって、目に見えないじゃないですか? その目に見えないモノを動かしたり、勇気づけたりするために、僕は芝居をやってるんだと思います。
──同じ新喜劇でも、吉本新喜劇がギャグと俳優自身のキャラで「笑わせる」としたら、松竹新喜劇は俳優が「笑われる」役をしっかり演じて笑いを取る、というイメージがあります。
役者ってやっぱり「役の者に成る」から『役者』なんですよね。大工とか社長とか、僕じゃない役の者に成るというときに「笑わせよう」という方に、神経を使っちゃいけないと思うんです。僕が先輩方や祖父を観て「すごいなあ」と思うのは、自分自身なのか役なのかわからなくなるという域までお芝居をされていて、それによって「笑われて」いるんですよ。
──確かに寛美さんは「死ぬ気でアホを演じてる」という印象がありました。
だから「笑わせよう」という自覚があるうちは、それはまだ「役」ではなく「僕」。よく「役の者を学びなさい」って言われるんですけど、それは一生懸命に役をやっていたら、「笑わせよう」と思わなくても、知らんうちにお客さまは笑ってくださるよ、ということなんです。奥深いけど、根本はそこじゃないかと。役をきちんと学んで、演じることに没頭すれば、それが笑われる、喜ばれることにつながる。やっぱり松竹新喜劇は役者さんが起こした劇団なんで、源流は演劇なんだなあと思います。
『初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演』
日程:2021年1月1日(祝・金)〜7日(木)
会場:南座(京都市東山区四条大橋東詰)
料金:一等席6000円、二等席3000円、三等席2000円
電話:0570-000-489
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