井筒和幸監督、8年ぶりの新作「ずっと青春の名残りを追い続けてきた」

2020.12.18 20:15

8年ぶりに映画を公開する井筒和幸監督。(C)2020「無頼」製作委員会/チッチオフィルム

(写真4枚)

「EXILEの松本を主役にしたのは、昭和の顔だから」

──その徒党の頭には、男気があって度胸もある人物が選ばれる。その主人公にEXILEの松本利夫をあてたのはどういう経緯からですか?

彼もね、8年前の『黄金を抱いて翔べ』の後、紹介してくれた人がいて。EXILEのコンサートに招待されたときだった。彼を主演にしたのはやっぱり顔だな。昭和の顔だよね、あれは。いかついんだけど、やさしさも滲んでて。

今回、キャスティングはほとんどオーディションで選んでいて、うちの演出部が3千人以上を見たんだけど、決め手は昭和の顔をしているかどうかだった。松本くんの顔は、どこかインテリやくざにも見えるし、好きでやくざやってるわけじゃないというのも感じられるしね。

──そういえば、劇中で深作欣二監督の名作シリーズ『仁義なき戦い』(1973年〜74年)のなかの、松方弘樹さんの台詞を言わせてますね。

「夜中にこうして酒飲んでるとよぉ、つくづく極道やってるのが嫌になる。ところが、朝起きて若いもんに囲まれたら、また夕べのことは忘れるんじゃ」っていうやつ。きっとその通りだと思うし、組長が堅気になろうとしたとき、言わせたかった(笑)。

あれは自分なりの『仁義なき戦い』へのオマージュですよ。それで言ったら『ゴッドファーザー』(1972年)の映画談義もしてるよ、オマージュとして。どことは言わないけどね(笑)。

──やっぱり好きですよね、『仁義なき戦い』と『ゴッドファーザー』(笑)。

この映画をつくった動機で、寄る辺なき者たちから見た昭和を描きたかったというのも本当だけど、もっと単純な理由は、近頃、自分が観たいと思えるような面白いやくざ映画がなかったということなんだよな。だったら自分で作っちゃえ、だった。

昭和の裏世界を細部に至って追求。(C)2020「無頼」製作委員会/チッチオフィルム

──主人公の奥さん役は柳ゆり菜さんが演じています。彼女もオーディションですか?

そう、オーディションで選んだ。彼女は大阪出身で、和服を着たらイナセで気風がいいでしょ。一家の姐さん役になる女性だからね、気風の良さと貫録は大切なんだ。

──あと気になる役者さんは、中村達也さんと木下ほうかさんですね。

中村くんは、日本を代表するミュージシャン、ジャズドラマーだけど、とても真摯に役に入れ込んで熱心に演じてくれた。実は彼もオーディションで選ばせてもらったんだけど、すごく真面目で最高だった。

ほうかはいつもうちの常連オファー。あいつの役は、あいつを当てこんで書いた部分もあったから。なにしろ『ガキ帝国』からのつきあいで気心知れてるから(笑)。

──こうして松本さん、柳さん、中村さん、木下さんと並べてみると、どこか同じ匂いがする気がします。

それは「青春の祭りの名残り」を感じさせるってことじゃないかな。自分が撮ってきたほかの映画もそうなんだけど、結局ずっと「青春の名残り」を追い続けてきたから。

──そうすると、この『無頼』が井筒監督作品の集大成というのも、あながち間違ってはいないんですね。

いや、集大成だなんて思ってないよ(笑)。あれは宣伝部が言ってるだけで、オレも言わされてるだけ。次に構想しているものもあるしな。

ただ、オレが次の寄る辺なき無頼者を撮る前に死んじゃったら、これが集大成って言われるんだな。まあ、それも仕方ない。さよならだけが人生、いつそうなるかわからんし(笑)。

『無頼』

監督:井筒和幸
出演:松本利夫(EXILE)、 柳ゆり菜、中村達也、ラサール石井、小木茂光、升毅、木下ほうか
主題歌:泉谷しげる 「春夏秋冬〜無頼バージョン」
製作・配給:チッチオフィルム 配給協力:ラビットハウス

関西での上映:出町座、京都みなみ会館(以上12月18日(金)〜)、第七藝術劇場(12月19日(土)〜)、豊岡劇場(2021年1月15日(金)〜)、神戸アートビレッジセンター(4月予定)

(C)2020「無頼」製作委員会/チッチオフィルム

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