朝ドラ・エールの恋物語、劇中劇「椿姫」と見事にシンクロ

2020.8.25 19:15

第43回より、福島での希穂子(入山法子)と鉄男(中村蒼)(C)NHK

(写真10枚)

数々の映画メディアで活躍し、本サイトLmaga.jpの映画ブレーンでもある評論家・ミルクマン斉藤。映画の枠に収まらず多方面に広く精通する彼は、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)も注意深くチェックするという。『エール』第9週(41回〜45回・本放送5月25日〜29日・再放送8月14日〜19日)を振りかえり、見どころを訊いた。

第9週「東京恋物語」

この週はヴェルディのオペラ『椿姫』を軸にして、3つの物語が並行していく。まずはヒロイン・音(二階堂ふみ)が音楽学校の公演『椿姫』の主役ヴィオレッタ役を射止めるべく、オーディションに挑む物語。ふたつめは、未だ福島の新聞社に勤めている村野鉄男(中村蒼)と恋人の希穂子(入山法子)の物語。そして主人公・裕一(窪田正孝)が「地方小唄」、すなわちご当地ソングの作曲に苦闘する物語である。そのうちメインとなるのはサブタイトルどおり、鉄男と希穂子の恋物語だ。

■「物語が『椿姫』とシンクロするのがキモ」

男女の心情を学ぶためにある場所で働く音(二階堂ふみ)(C)NHK
第42回より、男女の心情を学ぶためにカフェーで働く音(二階堂ふみ)(C)NHK

だがもともとは、音が社交界の花形(と劇中では云われるがその実、高級娼婦である)ヴィオレッタの恋愛感覚が理解できない、という悩みがある。

二次審査で双浦環(柴咲コウ)から「正直言うとあなたの歌には惹かれるものがなかった。どこまで役を理解しているかが何も伝わらなかったの」と批評され、改めてその事実に気づくのだ。

そこで音は短絡的に(笑)「私、決めた! 社交場に咲く花になる!」と、裕一や木枯(野田洋次郎)がしきりに通うカフェー「パピヨン」に臨時の女給として1週間雇ってもらうことになる。そこに居た先輩女給が希穂子である。

この希穂子を演じる入山法子が、竹久夢二ふうの美女像をまさに体現していて儚げで美しく、実に魅力的。今ひとつ当たり役のなかった入山だが、これはブレイクスルーになるんじゃないだろうか。

そんなとき、上京した鉄男が「パピヨン」に来店する。なんと希穂子とは福島で出会った恋人同士。仲居を務めていた料亭から急に消えて以来の再会だというのである。

どうやら鉄男は、勤務している福島日民新聞の堂林社長(斉木しげる)に認められ、社の跡取りとして娘との縁談を勝手に進められていたようなのだ。

・・・ところで、華のある美人で性格も良さそうな社長令嬢を演じるのは「春花」とクレジットされるが、改名前の芸名は竹富聖花。映画『ホットロード』(2014年)で能年玲奈の親友役を演っていた女優だ。出番がちょっとしかないのがとても惜しい。

それはともかく、希穂子は堂林社長から脅迫まがいに金を握らされ、鉄男の未来の妨げになると感じて福島から姿を消したらしい、ということが後に判明する。そして再会後も結局は身を引くのであるが・・・、その物語が『椿姫』とおおまかにシンクロするのがキモである。

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