「綿」をめぐる郷土史を背景に、2人の染色作家の作品が交差

2020.8.26 06:15

福本潮子《霞の茶室》1990年 亜麻、和紙、真鍮の上に漆塗り ぼかし染、脱色染、大帽子染、しみ染、よろけ加工 180×180×180cm

(写真10枚)

「尼崎市総合文化センター」(兵庫県尼崎市)の美術ホール(5階)で、美術展『歴史と紡ぐ・今を染める』が8月30日までおこなわれている。

2人の染色作家、ベテランの福本潮子と若手の村上由季のダブル個展だが、実は別フロアで同時開催の尼崎市文化財収蔵庫出張企画展『綿を紡ぐ・歴史を紡ぐ』とリンクしている。

福本潮子《宙》1998年 トルファン綿 一点絞り染 各16×16cm

同企画展は、尼崎市が江戸時代に綿の一大産地だったこと、明治から昭和戦前期にかけて近代的紡績業が発展していたことを伝えるもの。この郷土史にちなみ、現代作家の仕事を紹介するのが「福本潮子-藍と白」と「村上由季-記憶の色」なのだ。

福本の作品は藍染で、初期の代表作『潮騒』、全幅6.3メートルの大作『太陽の道』、満天の星空や蛍の光を思わせる『宙』、最新作『GARASHA』(制作風景の記録映像も)など19点が展示されている。

同センターの妹尾綾学芸員は「福本さんの近作は古布の麻などを用いることが多いのですが、今回は尼崎市と綿の歴史にちなみ、綿を用いた旧作も含めて作品選定を相談しました」と説明する。コンパクトながら初期から新作までバランスよく配され、作家のキャリアを通観できる引き締まった内容だ。

一方、尼崎市出身の村上は、地元の野菜や植物で染めた「産地染め」の作品を出品している。そして階段を下ると『綿を紡ぐ・歴史を紡ぐ』の会場へ。「綿」をキーワードに現代美術と郷土史を同時に楽しめる、希有な機会である。料金は一般500円ほか。

取材・文/小吹隆文(美術ライター)

『歴史を紡ぐ・今を染める』福本潮子-藍と白/村上由季-記憶の色

期間:2020年8月8日(土)~30日(日)※火曜休 
時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで 
会場:尼崎市総合文化センター 5F美術ホール(兵庫県尼崎市昭和通2-7-16)
料金:一般500円、大学生250円、高校生以下無料
電話:06-6487-0806

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