事故物件住みます芸人・松原タニシ「嘘のない生活を」

2020.8.26 20:15

松原タニシが、長年アルバイトしていた「金龍ラーメン」にて。

(写真9枚)

「人が何に関心を示すのか、そこに僕は興味を持つように」

──ちなみに今回、撮影場所として選ばれた金龍ラーメンでは長いあいだアルバイトをされていたそうですね。

10年以上、バイトをしていました。2019年まで籍を置いていましたけど、東京での仕事が増えて、辞めることになりました。この千日前店はお笑い芸人、役者、ミュージシャン、ボクサー、あと夢を持たない人などいろんな人がバイトをしていて、急に仕事が入ったとき、予定が空いている人がその穴を埋めたりしてシフトが回っていた。

シフトリーダーの方が、僕らみたいな何かをしようとしている人たちをずっと応援してくれて。自分にとっては第2の家ですね。

──劇中では序盤、鳴かず飛ばずの時代も描かれています。売れっ子コンビを横目で見ている場面もありますが、実際にライバル的存在はいたんですか。

僕は早々に諦めていた部分があったので、ライバル視するコンビはいなかったですね。普通はみんな、2年目、3年目くらいですごく焦るんです。同期がテレビに出たとか、ゴールデンに選ばれたとか、『M-1グランプリ』や『R-1ぐらんぷり』で良い結果を残したとか。

でも6、7年目になると、そうやって注目された芸人も落ちてくる。テレビに出ただけでは売れないことに気づきだすんです。

──現実を突きつけられるわけですね。

結局、お笑いってだれかに認められるためにやるものではないんです。自分にしかできない芸を見つけ、周りが注目せざるを得ないものを目指す。僕の場合、おもしろいかどうか分からないけど、とりあえずみんなが嫌がってやらないから事故物件に住みはじめました。

そうしたら、「みんな、こういうことに興味を持つんだ」と分かってきた。事故物件の話が無理な人でも、こういう内容なら大丈夫なんだとか。人が何に関心を示すのか、そこに僕は興味を持つようになりました。昔は確かに自分が面白いと思ったことを認めてもらいたい気持ちはあった。でも、そこが大事じゃなくなってきました。

松原がお笑い芸人と劇場に出演しながらアルバイトしていたように、演劇界で活躍しつつ、金龍ラーメンで働くスタッフも

──タニシさんは「事故物件住みます芸人」として、怪談芸の世界へ足を踏み入れました。例えば漫才では、松竹芸能なら、酒井くにお・とおるや、海原はるか・かなた、吉本ならダウンタウンなどトップの芸人がいますよね。タニシさんが今、身を置いている怪談シーンでは、どなたが頂点なのでしょうか。

やっぱり稲川淳二さんですよね。稲川さんは話がおもしろい。「怖い」と「おもしろい」って表裏一体だと思うんです。張り詰めた空気のなか、軸をちょっとブラすことで笑えたり、余計に怖くなったり。稲川さんはその話の展開がすごいんです。

怪談をしゃべっているのかなって思って聞いていたら、ただ単にラオスで迷子になった話だったり。「急に話のテンションが上がってきたな」と思ったら、たけし軍団と野球をした話だったり。予測がつかないんです。怖いのか、面白いのか。「どっちでくるねん!?」というところが魅力ですよね。

『事故物件 恐い間取り』

2020年8月28日(金)公開
原作:松原タニシ「事故物件怪談 恐い間取り」(二見書房)
脚本:ブラジリィー・アン・山田
出演:亀梨和也、奈緒、瀬戸康史、江口のりこ、MEGUMI、真魚、瀧川英次、木下ほうか

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