あつ森で振袖デザイン、老舗着物メーカー「美しさを身近に」

2020.7.8 20:15

「振袖2020collection」を再現したデザイン

(写真6枚)

京都の着物メーカー「千總」(京都市中京区)が6月末、Nintendo Switchの大ヒットゲーム『あつまれ どうぶつの森』(以下、あつ森)内で着用できる振袖のマイデザインを公開。創業460年の老舗による試みがSNSで話題となっている。

同ゲームの機能のひとつ「マイデザイン」は、自分好みの絵や模様を書いてゲーム内で使用することで個性的な島や部屋作りができるというもの。これまでもジェラートピケや日本相撲協会などさまざまな企業が公式にマイデザインを配布しており、先日もフィギュアスケーター・宇野昌磨選手の衣装が公開され注目を集めた。

今回「千總」が公開したのは、着物の華やかさをそのままにデフォルメした愛らしい振袖のデザイン。実際に販売されている振袖を再現した2柄と、『あつ森』限定の2柄がラインアップしており、SNSでは「細部まで美しく表現されていて眼福」「素敵すぎて欲しい」という声が集まっている。

老舗着物メーカーがなぜ、あえてゲームの世界に参入したのか。同社コミュニケーション部の中さんにお話をうかがった。

──伝統的な着物がこうして現代のゲームの世界に入ってきたことに驚きました! 今回、なぜこの挑戦をおこなったのでしょうか。

今のライフスタイルのなかでは、着物に触れる機会が日々少なくなっています。今年は新型コロナウイルスもあり、さらにその機会が減少してしまうことを感じ、バーチャルの世界で着物を体験していただけないかと考えました。

──すごいですね。この振袖、高いですよね・・・?

今回再現した「振袖2020collection」はどちらも百万円以上はするものです。ハンドメイドにこだわり、千總のオリジナルデザインを友禅染めや絞り、刺繍などさまざまな技法を用いて表現しています。

──おおー!それがマイデザインで体験できるのは贅沢ですね。

着物は人生の節目の日に着る民族衣装でありながら、本来ファッションとしての側面も持ち合わせているものです。あつ森に振袖のデザインを届けることで、若い世代だけではなく、多くの方に着物の華やかな美しさ・楽しさを体験していただければと思っています。

「あつ森」限定のオリジナル振袖デザイン

──はじめてのマイデザインの作成はいかがでしたか?

今回、若手の図案家が手掛けましたが、デザインを限られた色やドットで表現するのが大変難しかったそうです。普段と違う作業に試行錯誤しながら、360度どこから見ても美しいという着物の着姿の再現にこだわりました。

──大きな話題となり、苦労が報われましたね!

あんなに話題になるとは正直思っていなかったので驚きました。着物への興味関心の高さを感じましたので、着る楽しみが広がればと思います。

──今後も、こういった挑戦を続ける予定なのでしょうか?

着物の美や文化に触れる機会が減っているなか、創業460年の歴史を持つ京友禅の老舗として、若い方々着物をより身近に感じていただけるよう、これからもいろんな挑戦をしていけたらと思っています。

取材・文/小田切萌

『あつまれ どうぶつの森』千總マイデザイン

作者ID:MA-3850-3955-5752

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