日本に1点しかない!現存するアマビエの図が、ご開帳

2020.7.2 07:15

肥後国海中の怪(アマビエの図)京都大学附属図書館蔵。アマビエの名を伝える唯一の資料

(写真4枚)

コロナ禍の日本で、SNSを席巻した「アマビエ」。このアマビエの原資料を含む、さまざまな怪異にまつわる資料を展示する『驚異と怪異─モンスターたちは告げる─』が、「兵庫県立歴史博物館」(兵庫県姫路市)で8月16日までおこなわれている。

江戸時代、肥後国(熊本県)に現れ「疫病が流行ったら、自身を写した絵を人々に見せるように告げたという妖怪だ。これが現代の疫病、新型コロナウイルスを鎮めてくれるのではないかと、SNSで「アマビエ」のイラスト投稿が盛り上がり、アマビエをかたどった有田焼や和菓子も発売されるなど、瞬く間にコロナ時代を象徴する存在に。

拡散されたアマビエイメージの源となったのは、江戸時代の摺物「肥後国海中の怪 アマビエの図」(京都大学図書館蔵)。「菱形の目、タッチが現代っぽい。学生の落書きじゃないの?」と疑問を呈した人もいたほどのキャラっぽさが魅力だ。ご利益のほどはさておき、不穏な空気に押しつぶされそうになっていた日本に癒やしを与えてくれたのは間違いない。

「クタヘ」の図 個人蔵 アマビエの先輩(?)予言怪物「クタへ(くだべ)」は、「人の顔をした獣」と言われる

担当学芸員の香川雅信さんによると、「モンスター」の語源であるラテン語の「モンストルム」には、警告や予兆といった意味がある。アマビエも災害を警告する怪物で、この展覧会のテーマにふさわしいと、「アマビエの図」の出品は、昨年の夏には計画されていた。

それが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で展示は延期。その間にアマビエブームが沸騰し、まだ始まっていない展覧会に対し「アマビエの図」についての取材が殺到するという異例の事態となった。まるで、このモンスターだらけの展覧会そのものが、怪物の持つ「予言性」という力を持ってしまったかのようだ。モンスターのパワー、侮れないものがある。

展覧会には、ほかにも「予言、警告する怪物」たちが登場する。たとえば人魚。アマビエに遡ること30年前、1819年に「神社姫」と呼ばれる人魚のような怪物が現れ、疫病の流行を予言したという。

実は「予言する怪物」は、アマビエ以前にも現れていたのだ。1827年から1829年頃に、越中(新潟県)に「くだべ」と名乗る獣が現れ、「これから名もなき病が流行するが、私の姿を描いた絵を見るものはそれを逃れることができる」と告げたという。令和のアマビエブーム同様、江戸時代には「くだべ」の絵が魔除けとして人気をよんだそうだ。

歴史は繰り返す。新型コロナウイルスが、現代社会へ警告を突きつけるモンスターなら、疫病に屈しない人間の知恵や想像力が生んだのもモンスターだ。展示には、昭和の夏休みの定番だった納涼怪奇番組で見たような「河童の頭」や、「ろくろ首」なども登場する。想像上の怪物たちの放つ、禍々しいパワーにあやかりたい。

取材・文/沢田眉香子

「驚異と怪異─モンスターたちは告げる─」

期間:2020年6月23日(火)〜8月16日(日) 
会場:兵庫県立歴史博物館(兵庫県姫路市本町68)

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