江本孟紀さん「野村克也さんは長嶋さんが好きだった」

2020.7.1 19:15

野球解説者、元南海ホークスの江本孟紀さん

(写真3枚)

野球解説者・江本孟紀さんが6月29日、今年2月11日に逝去された元プロ野球監督の野村克也さんとの思い出をトークイベント『追悼・野村克也 蔵出しドキュメンタリー上映&江本孟紀が語り尽くす“南海ホークス秘話”』の取材会で語った。

野村克也さんは南海ホークスの選手時代に捕手として初めて三冠王に輝くなど数々の記録を打ち立て、通算でも王貞治さんに次ぐ歴代2位の657本塁打を放つなど活躍。江本さんは、「野村さんはヤクルト(スワローズ)の名将というイメージが強い。でも一緒にプレーした人間としては『野球人・野村克也』であり、ものすごい野球選手だったことをもっと分かってほしい。王貞治、長嶋茂雄、張本勲といった大選手以上のスーパースター」と偉大な功績について触れた。

左から、番組ディレクターの土井聡夫さん、江本孟紀さん、カンテレアナウンサーの毛利八郎さん

投手だった江本さんは1972年、東映フライヤーズから南海ホークスへ移籍。野村さんは当時、選手兼監督として、江本さんが阪神タイガースにトレードされるまでの4年間、バッテリーを組んだ。野村さんとの初対面について、「移籍したばかりのとき面談のため監督室に呼ばれたのですが、第一声で『お前のサインは3つしかなかったのお? グー、チョキ、パーや』と言われたんです。なんで俺のサインが分かるんや、とショックを受けました」と、江本さんは思わぬ指摘に驚いたという。

さらに江本さんは「野村さんは『お前は単純やのぉ。うちにきたからには、そんなもんやない。サインも難しいぞ。野球は打って、投げて、走ってだけやない』と言われました。それがどういうものかやっていくうちに分かっていった。昭和40年代ですでにシンキング・ベースボール(考える野球)を標榜していたんです」と、野村さんの野球論がチームに大きな影響を与えていたと話す。

野村さんといえば、国民的人気を集めた長嶋茂雄さんをライバル視していたことで知られているが、江本さん曰く「野村さんは実は長嶋ファンだったんです。長嶋さんのことが好きだったし、憧れていた。でもヤクルトの監督時代は、長嶋さんを『口撃』して、(息子の)一茂もついでにボロクソに言っていた(笑)。野村さんには表と裏があるんです。(自分が思っていることと)逆のことをやるんです」と、知る人ぞ知るエピソードを明かした。

プロ野球は新型コロナウイルスの影響もあり、当初より約3カ月遅れて6月19日に開幕。かつて南海が拠点にしていた大阪をフランチャイズにするオリックス・バファローズ、そして兵庫県が本拠地の阪神タイガースの関西2球団はスタートでつまずき、下位に沈んでいる。江本さんは「どちらも調子が悪い。勝ったり負けたりは当然あるけど、もうちょっと内容良くやってもらわないと。がんばってほしい」と、エモやんらしい辛口なエールをおくった。

取材・写真/田辺ユウキ

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