映画評論家が選ぶ、動画配信サイトの名ドラマ4選

2020.5.4 20:00

『ザ・ループ TALES FROM THE LOOP』Amazon Prime Videoで独占配信

(写真6枚)

「Hulu」「Netflix」「Amazon Prime Video」と、今や動画配信プラットフォームが手がけるオリジナルの映画、ドラマ、バラエティなどは今や侮れないおもしろさに・・・どころか、ふところの深さとアグレッシブさは近年の映画界、テレビ界を圧倒的にしのいでおり、見逃せない存在となっている。

例えば、「Netflix」の『ROMA/ローマ』が第91回アカデミー賞監督賞受賞、さらに『全裸監督』が一般層にまで注目度が拡大し、「Amazon Prime Video」では松本人志らが出演するお笑い番組『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』を制作。そこで、今回は、各配信オリジナルの新作を欠かさずチェックする映画評論家・田辺ユウキのオススメ4作品を紹介。文中で記載する映画と見比べて、おうち時間の満喫を。

「ブラを捨て旅に出よう ~水原希子の世界一周ひとり旅~」Huluで独占配信 © Hulu Japan   

まるで水原希子版『ミッドサマー』!
『ブラを捨て旅に出よう〜〜水原希子の世界一周ひとり旅〜』【Hulu】

あらすじ【水原希子がHuluを訪問して「世界一周をしたい」と宣言し、旅費負担と旅映像の独占配信権を交換条件に、世界一周旅行に出る。スタイリストもメイクも同行しない、水原希子のひとり旅を追ったドキュメンタリー】

水原希子がHuluの関係者と交渉する冒頭からエヴァフォント(『新世紀エヴァンゲリオン』で使用されている書体の通称)とデザインが飛び出し、「これは色々と分かっている番組かも」と思っていたら、1話目『中国編』からとんでもなかった。

世界最古の少数民族が暮らす中国の秘境・大根村にたどり着くと、村のおばあちゃんたちが大挙して押し寄せてきて家のなかに連れていかれ、わけも分からず飯を食わされる。状況を飲み込めないまま、さらには村人と輪になって踊らされる水原希子・・・。っていうか、こりゃまるで『ミッドサマー』(2020)や『グリーン・インフェルノ』(2013)みたいな部族ホラーじゃないか! 

一方で、大根村の悲しきヒストリーも『アバター』(2009)的な侵略ものとして観ることもできる。2話目以降は水原希子のシンボリックなヒロイン感がより飛躍し、構成・演出の絶妙なあざとさとの相性も抜群。水原のキャラ像を実にうまく使った旅作品!

Netflix映画「その住人たちは」で独占配信中
Netflix映画「その住人たちは」で独占配信中

『パラサイト』より病的な豪邸略奪大作戦
『その住人たちは』【Netflix】

あらすじ【職を失ったため、自宅の高級マンションを手放すことになった広告会社の元重役・ハビエル。再就職活動もうまくいかず、引越先の安アパートに満足できない彼は、かつての自宅をのぞき見するようになる】

かつての豪邸を取り戻したい、執着心まみれのオジサンの下克上を描いたこの映画。「家ののっとり」が題材とあって、『パラサイト 半地下の家族』(2019)を引き合いに出されているようだけど、こちらはもうちょっと病的要素が強い。

主人公のハビエルは元自宅への執着心が思い余って新入居者の不在中に不法侵入するし、彼の息子は太りやすい体質でちょっとしたトラブルに。新入居者もアルコール依存だったり、ほかにも異常な癖(へき)を持った人物が出てきたり。『パラサイト』が半地下特有の臭みが体に染み付いた家族の物語ならば、『その住人たちは』は、性(さが)や習慣とビョーキは紙一重で、病みという名の染み付きは簡単に洗い流せないことを描いている。

監督が、ウイルスの蔓延や感染爆発をテーマにした『フェーズ6』(2009)、『ラスト・デイズ』(2013)のデビッド・パストール&アレックス・パストールというのも観れば納得。不自由がないように見える生活のなかで発生するパンデミック、といったところ。

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