考古学的な再現度に驚き、エール主人公が作曲のオリジナル曲

2020.4.29 07:00

第12回より、オリジナル曲の作曲に勤しむ裕一(窪田正孝)(C)NHK

(写真14枚)

「恋にのめりこむ、芸術家にもっとも重要」

ところで、この週のサブタイトルは「いばらの道」である。なのであるが・・・。

裕一は正式に養子になる前にその資質を見極める猶予期間として権藤家傘下の「川俣銀行」に勤めることになる(これも史実)。部屋は銀行の2階、ところが銀行は世界恐慌で超ヒマヒマ。

銀行で働く裕一(窪田正孝)と、事務員の昌子(堀内敬子)、銀行支店長の落合(相島一之)、行員の鈴木(松尾諭)、新人行員の松坂(望月歩)(C)NHK
第14回より、銀行で働く裕一(窪田正孝)と、事務員の昌子(堀内敬子)、銀行支店長の落合(相島一之)、行員の鈴木(松尾諭)、新人行員の松坂(望月歩)(C)NHK

相島一之、堀内敬子、松尾諭、望月歩(映画『ソロモンの偽証』や本作の演出・吉田照幸が監督の『疾風ロンド』などに出演)と、同僚はそろってなんとものんびり暢気な面々なのだ。なにが「いばら」やねん、と笑ってしまう能天気さ。

おまけに裕一はダンスホールに連れて行かれ、なんといちばんの売れっ子・志津に見初められる。悪魔の同僚たちに面白半分にそそのかされるうち、すっかり本気に。その恋情が頂点に達して告白しようとしたとき、実は彼女の正体は小学校時代、裕一を相撲で投げ飛ばした超ネガティヴ思考の少女だったと判明!

一瞬にして裕一の初恋は散るのであるが、志津を演じた堀田真由がまた巧い。朝ドラ『わろてんか』や映画『36.8C°』『殺さない彼と死なない彼女』など、結構彼女の仕事は充実しているが、裕一にしっぺ返し(?)してみせるときの豹変ぶりはちょっとした見ものであった。

ある事実を話す志津(堀田真由)と裕一(窪田正孝)(C)NHK
第15回より、ある事実を話す志津(堀田真由)と裕一(窪田正孝)(C)NHK

ちなみにダンスホールで「ちょうどいい女」扱いされる踊り子として椎名琴音が現れたのにも驚いた。山下敦弘&今泉力哉のガイナックス製作深夜ドラマ『エアーズロック』に主演したり、岩井俊二らと音楽ユニット「ヘクとパスカル」を組む異色女優である。

ところで志津にうつつを抜かしてる裕一の姿を見てしまったのが、かつての乃木大将こと鉄男(中村蒼)。

父親に殴られているのを目撃されたとき「しがみつけば必ず叶う」と言ってくれた裕一の言葉を糧にのし上がってきたらしく、今や福島日民新聞の駆け出し記者だ。片や、養子に遣られて音楽の道が閉ざされたとか以前に、ただの女ボケと化してしまった妄想童貞・裕一は、はてさてどうなるのか?

ま、恋にのめりこむって、芸術家にはもっとも重要なことなんだけどね。

【今週出てきた曲】
●ビゼー/歌劇『カルメン』序曲(ハーモニカ倶楽部アレンジで)
●ヨハン・シュトラウスII世/『皇帝円舞曲』(ハーモニカ倶楽部アレンジで)
●ちなみに、今や古山家よりも羽振りがいいらしい楠田が持ってくるSPレコードはモーツァルトの『魔笛』

文/ミルクマン斉藤

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