新型コロナで奈良県17市町村が休校延長、学力格差に懸念

2020.4.12 11:30

奈良県内は、休校延長を決断した市町村と新学期から学校再開した市町村とがあり、学力格差や受験への影響などを心配する声がSNSを中心に上がっている(写真は奈良県庁)

(写真2枚)

新型コロナウィルス感染拡大に伴い、4月に入ってから、奈良県内の市町村が続々と小中学校の休校延長を決めている。4月7日の緊急事態宣言発令を受け、新たに大和高田市などが休校延長を発表した。

奈良県教育委員会によると、県内39市町村うち、17市町村(6市11町)が休校を延長(4月7日16時点)。そのほか、天理市が通学を希望する子どもを対象に、感染リスクを下げるため、午前と午後の2グループに分けて授業を行う「分散登校」を実施している(基本的には家庭学習を奨励)。

そんななか、保護者の間ではSNSを中心に、休校延長を実施した市町村と新学期から授業を開始した市町村とで「県内で子どもの学力格差が生じるのでは?」「受験に影響は出ないのか?」「家庭学習だと家庭によって学力格差が生まれやすい」などを懸念する声が上がっている。

県内でもいち早く休校延長を決めた奈良市では、学力格差是正のため、3月の休校から、文部科学省の臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト(通称「子供の学び応援サイト」)を利用するよう保護者に促している。

さらに、今回の休校延長により、ビデオ会議システムを新たに活用して、教職員と児童生徒がコミュニケーションを図れるよう4月17日までの間に配信を検討している。奈良市教育委員会の担当者は、「配信日など具体的なことは後日、各学校ホームページを通じて案内するので、それを確認して欲しい」と説明。今後の利用にあたり、4月6日の始業式で、個別のアカウント作成をお願いする用紙を各家庭へ配布している。

奈良市内の中学生と小学生のママである松下さん(40歳)は、「オンラインだとどうしても漫画を読みながら、お菓子を食べながらなど、長時間真面目に聞かないので(子供の学び応援サイトは)利用していません。高校生くらいでないと実際には利用が難しいのでは?」と家庭の状況を話す。また、奈良県は2005年に高校の学区制を廃止していることから、「同じ県内で授業が再開されている市町村があるのは、正直気になります。中学3年生の親だったら、県内でバラバラなのは納得がいかないと思う」と受験生の子を持つ親の気持ちを代弁した。

ご主人が近鉄奈良線を利用して大阪へ出勤していることから、感染の危険を身近に感じているという奈良市在住の峠さん(37歳)は、「学力格差も確かに心配ですが、今問題にするのはそこではないと思います」と語る。小学生と幼稚園児の母である峠さんは、さらに「新学期を迎えるにあたり、すごい不安がありました。むしろ休校延長が決まってほっとしています」と現在の気持ちを話した。

大阪との往来を完全にストップできない土地柄であることを理由に4月2日に休校延長を決めた奈良市。仲川げん市長は自身のツイッターで「勉強は後から追いつけるが命は天秤にかけられない」と言及している。

新型コロナの影響で目まぐるしく変わる状況に、前出の松下さんは、「正直なところ、大阪と兵庫が収束した後、遅れて奈良県にコロナの波がやってくると思います。全国同じように足並みをそろえないと、後々大変なことになるのでは。他府県の学校が再開しても奈良だけ休校が続くかもと不安です」と胸中を語った。

取材/いずみゆか

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