伊藤若冲の未公開作品に、レディー・ガガ着用の若冲ブーツも

2020.3.26 07:00

尾羽は墨一筆のストロークで軽快に動きを出し、羽毛の4重になった重なりを、羽の一枚一枚、トサカの際までびっしりと描きこんでいる。ちなみに、展示時には修復を終え、表具もリフレッシュ

(写真10枚)

あの伊藤若冲に、一般には公開されていない初期の傑作があった! 京都・嵐山の「福田美術館」(京都市右京区)の『若冲誕生 〜葛藤の向こうがわ〜』で、その幻の作品『蕪に双鶏図』が、3月28日より初公開される。

蕪畑を背景に、若冲のトレードマークともいえる雄鶏を二羽、描いたもので、その色鮮やかで細密な描写は、若冲研究の第一人者・辻惟雄先生をして「こりゃー、すげえもんが出てきた!」と言わしめる傑作だ。

新発見の若冲の傑作にまつわる、3つの謎

これほどの作品が、なぜ世に出てこなかったのか? ということにまず驚くが、実はそれ以外にも謎がある。まずは、制作年。同館の岡田秀之学芸員は、若冲30代の初期作品ではないかと推測する。

そうだとしたら、若冲は同時代の画家・円山応挙が、ものをありのままに描く「写生画」を大成するよりも前に、このリアル描写をものにしていたことになる。若冲こそが「元祖・写生」となれば、日本の絵画史を塗り替える発見かもしれない。

謎の2つ目が、「なぜ鶏を、枯れた蕪と一緒に描いたのか?」。錦市場の青物問屋に生まれた若冲は、お釈迦様を大根に見立てた『果蔬涅槃図(野菜涅槃図)』を描くなど、野菜を巧みに描いている。

『蕪に双鶏図』(部分)。鬼気迫る細密描写は若さゆえ?葉の虫喰いの穴を透かして向こう側を描いており、まるで自らの超絶技巧を面白がっているよう

これは筆者の推測だが、絵にしなびた蕪の葉をフィーチャーしたのは、若冲の「描きがいの追求」ではないだろうか? たとえば、お肌ピチピチのギャルの美しさより、シワだらけのおばあさんの枯れっぷりを描く方が、格段に難しい。ここぞと超絶技巧をふるい、若冲は、葉の虫食いの向こうを描くような視覚的な遊びまで見せている。

そして最大の謎が署名の筆跡。若冲30代の署名を誰も見たことがないため、これが本人のものかが判然としない。しかし、たとえこのサインが他人の手によるものであっても、絵の作者が若冲であることは疑いようがない、と辻先生は語る。ダヴィンチの「モナリザ」、写楽の大首絵しかり、名画には謎がつきもの。この作品も、想像力を膨らませながら鑑賞したい。

『特別展「若冲誕生」~葛藤の向こうがわ〜』

期間:2020年3月28日(土)~6月21日(日)※火曜休(5/5・6開館、5/7休館)
時間:10:00~17:00(最終入館16:30)
会場:福田美術館(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16)
料金:一般・大学生1300円、高校生700円、小中学生400円 ※幼児無料
電話:075-863-0606

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