夜神ライト役の甲斐翔真「こんなにリアル」

2020.1.28 08:00
(写真12枚)

「舞台はその人のパーソナルな部分が出る」(甲斐翔真)

──稽古に入り、村井さんとご自身とのライトの違いは意識されますか?

同じことをしたとしても、まったく違うものになる感じはあります。舞台はその人のパーソナルな部分がちゃんと出るので、村井さんのライト、僕のライトになっていますね。

──甲斐さんのライトというのは?

年齢的な部分でも、僕のほうが「より青い」というか。青さゆえに間違っていく感じが出せるのではないかと・・・。村井さんは本当に計算して演じられる方で、いつも横目で見ています。たぶん瞬時に脳で組み立てられるんでしょうね。すごいなって思います。吸収することが沢山あるので、良い時間だと思います。

──ライトについて、村井さんとどのように話し合われているのですか?

僕は基本的に吸収ばっかりです。稽古場での席も隣同士なので「ここってさあ」「こうですよね」みたいな感じは毎日やっていて。村井さんは逆に、僕の若い部分を吸収したいと言って下さっています。

東京公演より、夜神月を演じる甲斐翔真(右) 写真/田中亜紀 提供:ホリプロ
東京公演より、夜神月を演じる甲斐翔真(右) 写真/田中亜紀 提供:ホリプロ

──村井さんが31歳で、甲斐さんが22歳。

醸し出す「今の人感」っていう。10歳も離れているので、そう感じてしまうのかもしれないですけど。村井さんもすごい純粋なライトなんですよ。30代な感じがしない。けど育ってきた時代も違うし、そういう所では違いがあります。

──演出の栗山さんは「演劇は時代を映す鏡」をポリシーに、その時代の空気を取り入れて演出されますが、まさに村井さんの「若さを吸収したい」というのは、「今の時代感を吸収したい」ということなのでは?

確かに、僕はライトとの実年齢が近い。この時代に生きている22歳としてライトにハマるところはあると思うので、そこは素直に生かしながら。あとはテクニック的なところですね。舞台に立つ、歩く、そしてセリフを言うという事がどういうことなのか・・・。毎日奮闘しています。

「扱っている題材は凄まじく重い」(甲斐翔真)

──今までは映像を中心に演じてこられたわけですが、舞台のチームワークを感じられるようになりましたか?

カンパニー的なひとつの集団で舞台をつくるという行為は映画やドラマにないから新鮮です。栗山さんは、稽古の後にダメ出し(ノートと呼ぶ)を全員集めてやるんですよ。だからほかの人のダメ出しを聞けるのはすごく良い。ひたすらメモにとっていますが、たまにすごく哲学的な事をおっしゃるんです。

デスノートによる大量殺人を重ね、歪んだ正義を貫こうとするキラの側面も演じる甲斐
デスノートによる大量殺人を重ね、歪んだ正義を貫こうとするキラの側面も演じる甲斐

──栗山さんの哲学とは具体的にどのような?

よくおっしゃるのは、「この題材を扱うために哲学を身に付けなけなければいけない。哲学というとすごく堅苦しくて難しいと思うかもしれないけれど、その人が『生きること、そして死ぬこと』はどういうことなのか?」と。

──答えの見つけにくい命題ですね。

それは、考えても分からないこともあるし、実際に経験しないといけないこともあると思うんです。確かに普通に生きていたら、なかなか考えるきっかけがないじゃないですか。人が生きて死んでいくことって、自然の摂理だと思うけれども、向かい合ったことがなかったので。

──今まさに向かい合っている最中ということですね?

そうですね。本当にライトは、この作品で生きて死にます。まさに自分が神だ、俺は生きているぞ、というところから一気に死ぬ。扱っている題材は凄まじく重い。良い意味でマンガ原作とは思えないくらい、素晴らしい作品だと思っています。

『デスノート THE MUSICAL』

日程:2020年2月29日(土)~3月1日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:S席13500円、A席9000円、B席5000円
電話:06-6377-3800

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