八千草薫の追悼上映、大阪・九条で17作

2020.1.31 20:00

八千草薫さん(写真は『愛情の決算』)(c)東宝

(写真3枚)

2019年10月に逝去した、女優・八千草薫さんにスポットを当てた特集上映『追悼特集・女優八千草薫』が、大阪のミニシアター「シネ・ヌーヴォ」(大阪市西区)で、2月8日から20日間おこなわれる。

八千草薫さんは大阪生まれ、宝塚歌劇出身。関西が生んだ日本映画界の宝である。すい臓がんのため88歳で亡くなったのは2019年10月。八千草薫さんの訃報をニュースで知ったとき、筆者は瞬時に「八千草ロス」が心配になるほどの大ファンである知り合いの50代男性が4人も思い浮かんだ。それほど八千草薫さんという人は、今なお多くの人を惹きつける永遠のマドンナなのである。

八千草薫さんの魅力は包容力に溢れる佇まい、そして気品に満ちた笑顔。そして(10月28日の訃報を受け取材に応じた)石坂浩二さんも泣きながら語っていた「(八千草薫さんの)なんとも言えない声がまだ・・・耳に残っています。あの声をもう聞けないと思うとなんとも悔しいですね」。そう、「声」である。一言一言大切に語る、ゆったりふんわりとした声は、本当に印象的で、耳からじんわりと癒されるようだった。

『蝶々夫人』(1955年)(c)東宝

1993年、本木雅弘主演のテレビドラマ『西遊記』では観世音菩薩を演じたが、まさに、菩薩のように若手の俳優をやさしく包み込み、ときには少女のように主役で輝いていた八千草薫さん。そんな彼女の代表作17本の映画が映画館を彩る。

ラインアップは『宮本武蔵』『続宮本武蔵 一乗寺の決闘』『宮本武蔵 完結篇 決闘巖流島』『蝶々夫人』『夏目漱石の三四郎』『乱菊物語』『愛情の決算』『雪国』『ガス人間第一号』『わが恋わが歌』『田園に死す』『ハチ公物語』『226』『天国までの百マイル』『阿修羅のごとく』『くじけないで』『ゆずり葉の頃』。

『ガス人間第一号』(1960年)(c)東宝

彼女の「ハチ、先生はもう帰ってこないのよ」というセリフが印象深い『ハチ公物語』は改めて観たい。また、彼女が「日本の女性の美の象徴」として、宝塚歌劇団在籍時代に抜擢されたという『蝶々夫人』、そして奇才・寺山修司の自伝的映画『田園に死す』、SFスリラーと八千草薫さんの可憐さが見事リンクした『ガス人間第一号』などは、この機会にぜひ映画館で見るべき作品な気がしている。

八千草さんが2016年に出演したドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)で、途中からぷっつり出なくなったときのことはよく覚えている。体調不良による降板だったそうだが、ものすごく寂しかった。いつもそっと見守ってくれるはずの人。八千草薫さんの佇まいはまさにそうで、いなくなると驚くほど悲しくてもう一度会いたくなる。だから映像に残っていることに、本当に感謝するのである。

彼女のファンの方はもちろん、私のような後追い組、さらには「八千草薫」という美のアイコンを通して日本映画の素晴らしさを知りたい方にとって、見逃せない2月の上映会となりそうだ。2月12日には『ハチ公物語』上映後に映画プロデューサーの奥山和由さん、時代劇・映画史研究家の春日太一さんのトークイベントがおこなわれる。

文/田中稲(昭和歌謡ライター)

『追悼特集 女優・八千草薫』

期間:2020年2月8日(土)〜28日(金)※各回入替制
料金:前売1200円、当日1500円(学生・シニア1100円、ほか)
電話:06-6582-1416

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